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徳島県小児科医会 日浦恭一

 予防接種の副反応の中で最も重篤なものがアナフィラキシーと呼ばれるものです。アナフィラキシーは即時型アレルギーの代表で、その症状はワクチン接種後比較的早い時期に見られます。症状の出現が早ければ早いほど重症です。したがってワクチン接種後30分程度はその接種場所に居ることやすぐに受診できる場所に居るように指導されています。



 この反応はワクチンに含まれる成分に対するアレルギーで、以前はワクチンに安定剤として含まれていたゼラチンが原因のアナフィラキシーが多く見られましたが、ワクチンからゼラチンが除去された後には、アナフィラキシーの報告は随分減少しました。

 アナフィラキシーの症状は急激に出現する皮膚・粘膜の症状、呼吸器症状、循環器症状などが中心です。全身の蕁麻疹や口唇・舌・口蓋垂の腫脹に呼吸困難、気管支攣縮、急激な血圧低下や末梢循環不全、失神や激しい腹痛が持続することなどが挙げられます。このような症状が接種後数分から数時間以内に発生した場合にはアナフィラキシーの診断のもとにできるだけ早く治療することが大切です。

 アナフィラキシーは原因の如何に関わらず呼吸器・循環器系の重篤な症状であり、早期に対応しなければ生命に関わり、後遺症を残すこともあります。

 予防接種の副反応とされるものの中にはワクチンと直接関係のない「紛れ込み」の事象が含まれることがあります。ワクチンの安全性を高めて安心して予防接種を受けられるようにするためには、副反応が起こった時には徹底してその原因を究明することが大切です。

徳島新聞2011年11月23日掲載

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