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徳島県小児科医会 日浦恭一

 小児科の外来では発疹が見られる疾患をたくさん経験します。先月はウイルスが原因で発疹が出る疾患についてお話しをしましたが、今月はそれ以外の原因で発疹が出る疾患について考えてみました。



 細菌感染症の中で発疹が見られる疾患の代表は溶連菌感染症です。発熱に発疹をともなう点ではウイルス感染症と同じですが、溶連菌感染では適切な診断と治療が求められます。

 溶連菌には多くの種類がありますが、大切なのはA群溶連菌と呼ばれるものです。A群溶連菌は小児の咽頭炎や扁桃炎の原因菌として最も多いものですが、これに特有の発疹が出現するものを猩紅熱(しょうこうねつ)と呼びます。

 また溶連菌感染症の後に発生する急性腎炎やリウマチ熱は小児にとって重要な疾患であり、急性期に適切な診断と十分な治療を行うことで予防に努めることが大切です。

 溶連菌感染症の主な症状には咽頭痛、発熱、全身倦怠感、頸部リンパ節腫大、発疹、苺舌などがあります。

 猩紅熱では咽頭痛や発熱が出現して2日以内に発疹が見られます。猩紅熱の発疹は小さな紅斑で、胸部から始まり体幹部全体に広がります。頸部や腋、股に紅色が強く、手指や足背にも表れます。発疹は1週間ほどで自然に消えますが後に表皮が剥がれ落ちます。

 猩紅熱は以前には法定伝染病に指定されるほど恐い病気でしたが、薬剤の進歩とともに治療可能な疾患となりました。しかし現在でも続発症の予防のためには正確な診断と適切な治療が必要な疾患です。

徳島新聞2011年6月8日掲載

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