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 今年もだんだん寒くなってきて、そろそろ風邪を引きやすい季節になってきました。風邪の中でも最も怖いのはインフルエンザです。体力のないお年寄りや乳幼児が普通にインフルエンザに罹るだけでも大変です。鼻水や咳が出始めると急に39度以上の高熱が出て、咽喉の痛みや倦怠感など風邪症状が現れ数日間続きます。その上に下痢などの消化器症状や筋肉痛・関節痛を伴います。循環器や神経に基礎疾患を持つ人や体力・抵抗力のないお年寄りや乳幼児には大変な負担になります。さらにインフルエンザが怖いのは幼弱な乳幼児に脳炎・脳症を引き起こす可能性があることです。インフルエンザ脳炎・脳症は、インフルエンザの発病から1~2日以内に痙攣重積症や意識障害で発病し、予後の悪い病気です。もし助かっても神経系の重篤な後遺症が残ることがあります。
 さて不幸にもインフルエンザに罹ったときの治療ですが、幸いにも最近はインフルエンザに有効な薬剤が開発されています。早い時期に正確な診断をつけて使用すると有効だと言われています。しかしウイルスの型によっては効果がないものや、カプセルや吸入薬など大人用の薬しかないものは、乳幼児には使いにくいものです。また発病早期に正確にインフルエンザの診断がなされなければ、これらの薬剤も使用するチャンスを失ってしまいます。

 いずれにしてもインフルエンザに罹ってから治療をするよりは、予防(ワクチン)が一番です。ワクチンと言うと効果は、副作用は、値段はと心配する声が上がりますが、脳炎・脳症が発病してからでは遅いのです。なぜ脳炎・脳症が発症するのかは明らかではありませんが、ワクチンをしていた人の中で脳炎・脳症に罹った人もは少なかったと言われています。誰がインフルエンザに罹っても困ります。お父さんお母さんが罹ると子供の世話は誰がするのでしょう。免疫のない乳幼児、体力の落ちたお年寄りなど誰か一人が罹ると家族中でうつし合います。ワクチンをする場合には子供だけでなく家族全員で受けることが大切です。

2001年11月掲載

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