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 先頃の新聞に日本人の母親の母乳中にもダイオキシンが含まれているという報道があった。母乳栄養をすすめている立場から、この件を整理してみたい。

 ダイオキシン類は動物実験では非常に強い毒性を有する物質であり、種々の発生源から出される科学物質である。またダイオキシン類は分解し難いため、環境中に残りやすく、また脂肪組織にも蓄積することが知られており、世界的にも問題となっている。

 ダイオキシン類は母親に摂取されると、乳汁中に分泌され、乳児に移行することが知られている。それでも母乳栄養をすすめていくには、その安全性の確保を図る必要がある。そのため我が国では「環境庁ダイオキシンリスク評価検討会」が組織され、その中間報告が厚生省児童家庭局母子保健課より配布された。その要旨

我が国で、乳児に与える母乳中に一定程度の ダイオキシンが含まれているが、
母乳の有益性及び安全性の観点から母乳栄養を進めて行く。

 このように母乳中のダイオキシン類の摂取が、乳児に与える影響は直ちに問題となる程度ではない。我が国よりも母乳中のダイオキシン含有の多い諸外国においても、母乳栄養は規制されておらず、母乳は乳児の発育、感染防止、栄養補給の効果が大きく、母乳栄養は進めることとなっている。ダイオキシン汚染は国民一人一人が加害者にも被害者にもなり得ることから、これからも、その危険性のチェックは、続けられねばならない。

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