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 SIDSとは乳幼児に何の予兆、既往歴もないまま突然の死をもたらす疾患である。可愛い盛りの赤ちゃんが、前触れもなく突然死するというのは、大変ショッキングなことで、厚生省はSIDSの研究班を発足させ、原因究明、予防法の確立に力を注いでいる。最近の全国調査での頻度は約二千人に一人で、乳児死亡原因の第三位であった。

 これらの疫学調査から発症の危険因子を分析すると、うつぶせ寝は仰向けに比べて3倍、人工乳は母乳保育に比べて4.8倍、喫煙環境について父母ともに喫煙する家庭は4.7倍発症リスクが高くなっていた。さらにこの三つの要因が重なると、発症率が21倍にもなるという結果も出ている。

 かけがえのない我が子を守るために、これらの因子を避けることが大切である。厚生省は調査結果から乳児は、

1. 仰向けに寝かせ

2. できるだけ母乳を与えて

3. 妊娠期間も含めて保護者は禁煙

するよう勧奨している。現時点では、より多くの人がこの病気を認識し、赤ちゃんの環境に注意を払うことが、その発生の予防につながると考えられている。

 厚生省生活衛生局の家庭用品による健康被害モニター報告のよると、小児の誤飲事故の原因としては「タバコ」が54%で最も多く、次いで「医薬品・医薬部外品」、「玩具」であった。そのうち「タバコ」の割合が最近増加傾向にあり特に注意が必要だといわれている。

 ハイハイやつかまり立ちをする6~11カ月の乳児による事故が74%を占める。この年齢の子どもを持つ保護者は、タバコ、灰皿および灰皿に利用した飲料の空き缶等を子どもの手の届くところに放置しないことなど、その取り扱いや置き場所に細心の注意を払うことが必要である。

 タバコ誤飲時の保護者の処置としては、口内の付着分を取り除くことは必要だが、水分を飲ませて吐かす処置は必要ない(かえってニコチン吸収が多くなる)。毒性成分のニコチン量はタバコの種類や食べた量によって変わるので、銘柄とおよその誤飲量を推定することが大切。タバコ一本の三分の一以上で胃洗浄の医療処置が必要とされている。

 タバコ誤飲で症状のでた子どもはあるが、死亡した子どもは報告されていない。素早い対応と予防がなによりも大切である。

 手足口病は口腔粘膜および四肢末端に現れる水疱性の発疹を主症状とし、幼児を中心に夏期に流行する。手足口病の主な病原ウイルスは、エンテロウイルスであるコクサッキーA16型(CA16)、エンテロウイルス71型(EV71)、コクサッキーA10型(CA10)が良く知られている。主な症状が消失した後も3~4週間は糞便中にウイルスが排泄される。軽症の患者が多く、伝染期間は長い(便中ウイルスで感染する)ことから実質的に登校停止で感染を予防することは困難と考えられる。通園、登校禁止の最終判断は主治医が決める。
 
 合併症として無菌性髄膜炎が時に見られるが、これまでの報告では殆どは予後は良い。ただしEV71は中枢神経合併症の発生率が他のウイルスより高いことが知られている。手足口病は基本的には自然回復する予後良好な疾患で目下のところ重症合併症の発生はきわめて稀である。しかし今夏の日本の手足口病の発生状況と病原ウイルスの種類(EV71)を注意深く監視する必要があるといわれている。

熱はどうして出るの?
日頃最も多く聞く訴えが発熱です。大部分はウイルスか細菌感染によって、脳内の体温調節中枢が影響を受けるためと言われている。体の生理的な防御反応とも考えられ、むやみに押さえ込む必要はない。

熱が出た/あわてずに。
機嫌、食欲など状態が良ければ心配ない。ひきつけの恐れのある子、乳児などは早めに診察を受けて。熱冷ましは一時しのぎ、病気を治す薬ではない。熱ばかりに気をとられずに、その他の異常(表情、咳、嘔吐など)を観察し、熱の原因を考えてみる。

熱冷ましの使い方
38.5℃以上でつらそうであれば使って良い。6~8時間は間隔をあけて、1日2~3回まで。指定された薬剤を適切な量で(兄弟では互いに使用しない、水薬は特に量を正確に、二つ以上の熱冷ましの同時使用はひかえて)使って欲しい。

薬以外の、副作用のない熱冷ましも忘れずに。
冷えたタオルで頭を冷やす、身体を拭く。むやみに暖めない。むしろ薄着で室温を下げる。夏場はエアコン使用可。着物や布団も普段通りか、一枚少なく。

熱が下がったら、安心せずにすることが。
熱が下がって機嫌が良くなったら、湯冷まし、果汁、電解質飲料、野菜スープなどで水分補給が大切。

鼻血はこどもに多い症状で、4~6歳に最も頻度が高い。季節にも関係があって、6~8月の夏期に多い。これは鼻の粘膜に細菌感染を起こしやすいからといわれている。出血の部位は鼻の中央側の、入り口から5ミリの部位で血管が多く集まっていて、僅かな刺激で出血する。鼻血をよく出すこどもの爪は伸びていることが多い。一度鼻血を出すと、数日間は繰り返しやすい。こどもは痒みのため、鼻をいじり、出血を繰り返す。

止血処置は,

1. 鼻に綿球を入れ、鼻翼部を鼻中隔に向けて指で圧迫する。
また鼻根部をタオルで冷やす。
十分間じっと圧迫していればほとんど止血する。

2. オキシセル綿花(酸化セルロース)を挿入する。
鼻血を飲み込まないように,座位あるいは横向きにし、
口に回った血液は吐き出させる。

3. 出血した鼻に抗生物質を含むステロイド軟膏を
塗布するのも良い。

4. 血液の病気や特殊な病状で、止血が困難で
出血量の多い時は専門医に相談するのが良い。


 最後にしてはいけないことは、

1. 無理に頭を後ろに返らせ過ぎること。

2. あわてて首の後ろをたたくこと。

3. 鼻の中に不潔なちり紙などを詰め過ぎること。

4. すぐに頭を振ったり、動き回ったりすること。

5. 爪を伸ばしていること。

こどもの鼻血はあわてず、圧迫していれば殆ど止まる。

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