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【答え】 疥癬 -まず専門医を受診して-

徳島市民病院 皮膚科 内田 尚之

 疥癬はヒト疥癬虫(別称・ヒトヒゼンダニ)といわれるダニの一種が、人の皮膚に寄生して起こる病気です。戦後、大流行しましたが、数年で終息しました。その後、昭和50年代に再び流行し、それが現在も続いています。

 まず、疥癬虫と、その生態について説明します。成虫のメスの体長は約0.4ミリで、オスはその半分です。視力のいい人でしたら、辛うじて見えるぐらいの大きさです。メス成虫は皮膚の角層(最も外側の皮膚)にトンネルを掘って約2カ月間、卵を産み続けます。卵は3~4日で孵化(ふか)し、幼虫となって脱皮を繰り返した後、成虫になって約30日間、生きるそうです。そして、メス成虫が卵を産み付ける場所を探して皮膚の表面を歩いているときに、他人に感染するといわれています。

 ところで、疥癬虫は、人体から離れたときにどのくらい生きられるのでしょうか。大気中の湿度90%、気温25度では3日間、高湿度で気温12度では14日間生きるといわれています。また、50度で10分間加熱すれば、死滅するようです。

 それでは、どんな病気か説明します。最も特徴的な症状は「かゆみ」です。特に夜間就寝時に強く、かゆみのために目が覚めることがあります。そして顔と頭を除く全身の皮膚に赤いぶつぶつや直径1~3ミリの水疱(すいほう)が現れます。特にわきの下、腹、手足の柔らかい部分、指の間、外陰部によくできます。また、数ミリの線状の筋が手首や指の間にできます。これが、メス成虫が卵を産み付けるトンネルといわれるものです。

 疥癬虫がうつる経路には直接、肌と肌が触れる場合と間接的にうつる場合があります。前者は、夫婦や親子などの家庭内感染、あるいは寮、老人施設、養護施設、病院などで集団生活をする人や医療従事者、それらの介護に携わる人たちがうつるケースです。質問の女性は、前者にあたります。後者は、宿直室や仮眠室の布団、ベッドなどの寝具、肌着、こたつ、ホットカーペットなどを介してうつるケースです。

 次に感染を防ぐには、どのように対処すればいいのか述べます。先述したように疥癬虫は50度、10分で死滅するので、衣類や寝具は熱処理やアイロンがけが有効です。そして布団はこまめに日光に当て、マットは防水シーツやビニールで覆ってください。介護人や医療従事者が患者さんに触れるときには、ビニールやゴム製の手袋やエプロンを着用すればいいでしょう。ただ、疥癬虫は湿度が低くなると活動が低下するので、患者さんが触れたタオル、いす、体温計、便器などは触っても心配ありません。通常、室内の駆虫や消毒の必要はありません。

 疥癬は典型的な症状がない場合、誤診されやすい病気です。必ず皮膚科の専門医の診断を受け、治療を行うようにしてください。

徳島新聞2002年10月27日号より転載

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