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【質問】 4歳の娘 視力低下が心配

 4歳の娘のことで相談です。先日眼科検査を受けたら、視力が1.2と0.7でした。さらに、まつげが目に入って傷がたくさんあるということでした。目薬を処方されたのですが、まつげを抜くなどのケアは必要でしょうか。目薬以外で気をつけることがあれば教えてください。また、逆さまつげが治れば近視は回復するのか教えてください。



【答え】 小児の逆さまつげと近視 -症状チェックし再検査を-

松本眼科 松本 治恵(阿波市阿波町)

 ご質問を読む限り、視力が低かった原因は、3つ考えられます。 

 1つ目は、視力検査が正確にできていない可能性です。小児の視力は測定しにくいので、1回だけの測定では判断しない方がよいかと思います。ご存じのように、視力測定は片目ずつ行います。もし、先に測定した目の視力が1.2と良好で、後で測定した目の視力が0.7と低かったのなら、集中力がなくなり途中で検査に飽きてしまったのかもしれません。逆に、先に測定した目の視力が0.7の場合、緊張のために実力が100%発揮できなかったことも考えられます。

 このように小児の視力は非常にデリケートであり、集中力や環境の影響を受けやすいので、必ず再検査をお勧めします。2回目の視力検査は前回とは異なる順番で(例えば前回右目から測定したのなら、次は左目から)測定し、前回と同様の結果になるかを確認することが重要です。

 日を変え、方法を変え、場合によっては前もって自宅で練習をしてから、何度も視力検査に挑みます。何度検査しても同様の結果が得られるようになって初めて、それが現在の視力と判断できます。視力検査は奥が深いのです。

 2つ目は、近視などの屈折異常を伴っている可能性です。この場合、眼鏡装用で視力改善は期待できます。近視による裸眼視力の低下は、目の奥行きの大きさである眼軸長(んじくちょう)との関連もあり、逆さまつげの治療とは別のものと考えていただいた方がよいかと思います。近視矯正手術という方法もありますが、成長期の小児にこうした手術は勧められないため裸眼での視力改善はあまり期待できません。しかし、眼鏡を掛けることにより、矯正視力は改善されると思われます。

 3つ目は、逆さまつげで、黒目の表面である角膜の中央部に傷ができ、一時的に視力が低下している可能性です。小児は、ほおがぽっちゃりし、肌の張りもぷりっとしてます。そのため、下まぶた全体が角膜の方向にカールしていることが多く、その程度が強くなるほど角膜表面に接触するまつげも多くなり、角膜の傷も増えます。

 ただ、小児の納得を得てまつげを抜くことは困難ですし痛みを伴いますので、ご家庭で抜くことはお勧めできません。成長に伴って顔がほっそりしてくると、内側へのカールも軽減することから、ほとんどの場合は自然に治ります。また、角膜の傷は、まつげの接触がなくなれば治りますし、小児のまつげは柔らかく角膜の再生も早いことから、角膜に傷が多少あっても視力障害がなければ角膜保護剤の点眼を行いながら経過観察を行います。

 しかし、点眼治療の効果が不十分で、眼鏡を掛けても見えにくいなど視力が矯正できない場合は、小学校低学年までに手術をすることも可能です。

 最後に目薬以外で気をつけて欲しいことは、白目の部分が赤くなっていないか、目やにや涙が増えていないか、痛みを感じていないかなどです。そのような症状がある時は、細菌の感染や、角膜に傷が増えていることも考えられますので、早めに眼科を受診することをお勧めします。

徳島新聞2008年12月28日号より転載

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