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200 BGxoKBtk【質問】物が離れて見える
   
 60代の女性です。いつもというわけではないのですが、物が離れて見えたり、くっついて見えたりします。例えば、車を運転していると車道の白線が2本に見えるときがあります。テレビで対談している人同士がくっついて見えるときもあります。そのときは片目を閉じると普通に見えます。バセドー病を患っているのですが関係ありますか。甲状腺の数値は安定しています。

 松本眼科 松本治恵先生

【回答】眼筋などの腫れが原因
 
 「物が離れたり、くっついたり」「車道の白線が2本」「テレビで対談している人同士がくっついて見える」というと、ハチャメチャな正体不明の奇病のように感じますよね。でも、これはとても理論的な病態なのです。
 
 医学的には「複視」といいます。右目で見ている世界と、左目で見ている世界が、一つに重ならず別々に独立して同時に見えるため、全てが二つずつ見えるのです。こんなときは、片目を隠して片目だけで見てみてください。どちらの目もきれいに見えますよね。

 なぜ複視は起こるのでしょうか。右目と左目には、筋肉が6本ずつ付いており、目は自由にグルグル動かせます。でも左右バラバラには動きません。脳からの命令で、右目と左目は連動して一緒に同じ方向へ動くようにできています。馬車を引く2頭の馬が御者の指示で2頭一緒に滑らかに右へ曲がったり左へ曲がったりするのと同じです。
 
 しかし、何らかの原因で左右の目の動きがバランスを崩すと複視が生じるのです。その一つにバセドー病があります。
 
 バセドー病は、甲状腺を刺激する「自己抗体」という物質を、自分でつくってしまう病気です。自己抗体は、常に自分の甲状腺を刺激し続けるため、甲状腺ホルモンがたくさん出ます。すると、あらゆる臓器が全力疾走しているのと同じ状態になります。心臓がドキドキして脈が速くなったり、血圧が上がったり、汗かきになったりします。
 
 大量のエネルギーが使われるので食欲は増進し、手の震え、いらいら、集中力の低下が引き起こされます。甲状腺自体は腫れて大きくなり、眼症状として眼球突出(目が前方に出てくる)や複視が起こります。
 
 眼症状が起こるメカニズムは、甲状腺を刺激する自己抗体によって目の周りにある脂肪や目を動かす6本の筋肉が攻撃されて炎症が起こり、腫れるからです。
 
 骸骨の顔を思い浮かべてみてください。目が入るべき洞穴(眼窩(がんか))が2個ありますね。それぞれの洞穴に、目は1個ずつ入っています。洞穴の大きさは変わらないのに、目の周りの脂肪や筋肉が腫れて大きくなると、洞穴の中に入りきらなくなってしまい、眼球は前方へ押し出されてくるのです。また、狭くなった洞穴の中で腫れ上がった筋肉は十分に動くことができなくなり、左右の目の動きのバランスが崩れ、複視が出現するのです。
 
 内科のホルモン治療によって甲状腺の数値が安定してきたのに、複視が続くと不安ですね。でも、甲状腺と目の治療は別と考えてください。
 
 例えば、台風(自己抗体)の被害を受けたA町(甲状腺)とB町(目)がありました。A町は停電になり、B町は水道管が壊れました。A町(甲状腺)の電気工事(内科的ホルモン治療)は終了し停電は解除された(甲状腺の数値は安定した)のに、B町(目)の断水(複視)が続いているということと同じなのです。A町の電気工事とは別に、B町(目)には水道管の修理(別の治療)が必要なのです。
 
 目の治療には、ステロイド(副腎皮質ホルモン)の内服や点滴、放射線療法が一般的です。場合により、正面を見たときの両目の位置ずれ(斜視)に対する斜視手術などをすることもあります。詳しくは、かかりつけの眼科医にご相談ください。200 BGxoKBtk

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