医師会はなぜ混合診療解禁に反対するのか 日本医師会、徳島県医師会は政府が進めようとしている財政主導の混合診療解禁に反対し、国民皆保険制度を守るため国民のみなさまとスクラムを組んで運動を展開してゆきたいと考えております。 日本では現在、保険証1枚あれば「いつでも、どこでも、誰でも」自由に、安心して、平等に医療を受けることができます。世界に誇る、この国民皆保険制度のおかげで、世界一低い乳幼児死亡率、世界一の長寿国になるなどおおきな成果を挙げております。しかも医療費総額は世界で18番目です。現在の制度では健康保険で認められた自己負担3割などの公的医療保険のみの診療がほとんどです。基礎部分は保険で、保険外は自己負担でという混合診療は認められておりません。健康保険で認められない自費診療が加われば保険部分もすべて自己負担となります。これには「特定療養費」という次のような例外があります。(1)新しい高度な医療技術や医薬品のうち承認された「高度先進医療」。たとえば心臓移植など。(2)差額ベッドや予約診療など患者さんの快適さに沿う「選定医療」があります。この二つは「混合診療」として認められています。その部分のみ保険外自己負担となります。(1)の「高度先進医療」としているもののうち安全性・有効性が確立した新しい医療技術や医薬品は、公的医療保険に導入して国民のだれもが公平にその恩恵に浴することができるように保険の適用範囲になります。それまでの経過措置ともいえます。 政府の規制改革・民間開放推進会議の考え方は「保険で認められない部分だけ個人負担、すなわち混合診療を解禁しよう。そうなると一般の人は多額の負担で困るでしょうから民間医療保険を利用しましょう」というものです。規制改革会議議長・宮内オリックス会長は「医療に市場経済をもちこめば、あらたな健康サービス産業が生まれる」とアメリカ型民間医療保険市場への参入、拡大と自社のもうけを考えております。政府は医療費抑制のため、公的医療保険部分の縮小をねらい、アメリカ型の医療制度をめざそうともしています。アメリカには公的医療保険制度は無く、民間医療保険でカバーしていますので、掛けた保険料によって受診できる医師、病院は制限され、さらには治療法も医師や患者の選択よりも保険会社の営利性が優先されます。アメリカの医学は世界1位といわれていますが、医療制度はほころびが見えはじめたという人もいます。 日本でいったん混合診療を解禁しますと、保険外の部分が増え、公的医療保険がききませんので、使えない健康保険なら入らないでおこうと考える人が増え加入者は減り、今の国民皆保険制度が崩れることも考えられます。民間医療保険では、疾病にかかっている人や疾病のリスクの高い人は加入を拒否されたり、高い保険料が必要となります。また低所得の人は加入し難いでしょう。すなわちお金のあるなしで受けられる医療に差が生じることになります。これでは『いのちの不平等』を生みます。安全性の確立していない医療が事前の審査を経ずに自費診療として提供される危険性もはらんでいます。高度先進医療をできるだけ保険診療に移し、だれもが利用できるようにすることこそ先決問題です。 |