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【答え】 ランナー膝 -安静にして患部の冷却を-

かじかわ整形外科 梶川智正(阿南市日開野町筒路)

ランナー膝

 今日は第5回とくしまマラソンが開催される日ですね。1万人以上が出場されます。今回の相談は、下り坂や不整地でのランニングなどで生じる「ランナー膝」と言われるものです。

 腸脛靱帯は大腿から膝の外側を通っており<図>、股関節を外転(股を開く)したり、屈曲(太ももを持ち上げる)したり、また、下腿を外旋(外に向ける)する働きを持っています。膝の曲げ伸ばしをするときに、この靱帯と骨(大腿骨外側か)の摩擦が生じて炎症を起こします。

 一般には「使いすぎ」が主な原因と言われていますが、細かく分類すると、<1>急激なランニング量・距離の増加、個人の能力を超えたランニング、ランニング中の急激なスピードの変化<2>筋、腱(けん)の柔軟性の低下、筋力低下、筋肉のバランス<3>内反膝(O脚)、もともと大腿骨外側の骨が大きくこすれやすい人、腸脛靱帯の厚い人<4>クッションの悪い靴、すり減った靴<5>不整地、硬い路面、下り坂<6>走行幅や接地時の膝の角度(不十分な曲げ)-があります。

 治療法の原則は、安静と患部のアイシング(冷却)が第一です。消炎鎮痛剤(痛み止め)の内服や貼付剤(シップなど)を用いても構いません。ただし、痛みを無理に抑えて練習を続けることよりも、完全に休息して回復を待つほうが痛みが少なくなる期間が短縮される可能性が高いとも言えます。

 マラソン本番が近く、どうしても出場したい場合には、患部に局所麻酔剤を注射して痛みを和らげる方法もありますが、決してお勧めできるものではありません。

 予防法としては、ランニング中、着地時につま先が内側を向かないようにすることが大切です。また、ランニング前・後のストレッチ、アイシングを念入りにすることはもちろんです。

 靴のかかとの減り具合をチェックし、極端に内側や外側が減っている場合にはアライメント矯正(足底板などのインソール)やフォーム矯正、テーピングも必要です。

 相談者の場合、初めてフルマラソンを走ると仮定するならば、まず、痛みが完全に止まるまでランニングを中止し、ランニングの計画メニューの練り直しをお勧めします。

 そのためにも、専門のスポーツドクターに治療を含めたアドバイスを受け、スポーツトレーナーやフルマラソン経験の豊富な人にランニングメニュー作成やストレッチなどの相談、シューズアドバイザーにはアップ用や本番に使用するシューズ選びを相談してみてはいかがでしょうか。

 笑顔でゴールする自分の姿を想像して、完走を目指して頑張ってください。

徳島新聞2012年4月22日号より転載
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