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【質問】 まぶたがピクピク動く

 小学6年生になる娘のことで相談します。5歳のころから目が悪く、最近目の下がピクピクと引きつるようなことがあります。本人は気付いていると思います。私は本人に尋ねようか、とも思うのですが、余計に気にしてもいけないので、迷っています。娘は乱視なのですが、関係があるのでしょうか。



【答え】 チック症/眼瞼ミオキミア -ストレスなど取り除いて-

板東眼科 板東 康晴(阿波市土成町水田)

 まぶたがピクピク動いてしまう状態のうち、よくある病気を好発年齢が若い順にあげてみます。

 まずチック症です。チック症とは体の一部が繰り返す動きや言葉のことで、癖の一種と考えられます。まばたきをくり返す、眼球をぐるぐる動かす、顔をゆがめるなどの動作が多いのですが、せき払いや発語を伴う場合もあります。好発年齢は幼児から小学校低学年ですが、高学年の児童から大人で起こる場合もあります。

 チック症はけいれんを起こしやすい体質に、何らかの誘因が加わって生じると考えられています。例えば逆まつげで目がコロコロする、アレルギー性結膜炎によるかゆみといった目の表面の軽い異常、めがねの度数が合ってない、テレビゲームなどによる目の疲れ、学校、家庭、習いごとなどでの心理的なストレスが誘因といわれています。

 軽いチック症は、放置しても1カ月から1年以内に消えてしまいます。ちなみに、チック症による行為を禁止するとかえって逆効果になる場合があります。また治りにくい場合や、発声・発語を伴うチックは小児科での治療を要する場合があります。

 次に眼瞼(がんけん)ミオキミア(眼輪筋波動症)です。聞きなれない病名ですが、疲れたときなどにまぶたの表面の筋肉が細かくピクピクと動く状態で、通常片側に起こります。チックよりは細かい動きで、肉眼でかろうじて確認できる程度です。眼精疲労、精神的ストレス、睡眠不足などがきっかけとなります。病気ではなく、通常は数日から数週間で自然に治まります。10代後半ごろから成人で起こることが多いです。

 片側性顔面けいれんというものもあります。片側の顔面の筋肉が、無意識にピクピク引きつるように動いてしまう病気です。最初は目の周囲の筋肉から始まりますが、自然に治ることは少なく、数カ月から数年で、けいれんがひどくなる場合があります。50~70代に多く、原因は頭蓋(ずがい)内の蛇行した動脈が顔面神経を刺激するためです。筋肉の収縮を抑制する、ボツリヌストキシンの注射などの治療法があります。

 このほか、眼瞼けいれんという病気もあります。これは、目のまわりの筋肉が意志に反して左右対称に強くけいれんし、目が開きにくくなるのが特徴です。まぶしい、目が乾くなどドライアイと似た症状で始まり、進行すると自分の意志で目を開けられず、本やテレビを見られないほどになります。50~70代に多く、脳の基底核という部分の機能障害によるといわれています。

 相談の場合、小学校6年生という年齢から、チック症かミオキミアが考えられます。まずストレスや睡眠不足などがあれば、できるだけそれらを取り除いてやってください。また眼科を受診し、乱視のめがねは適正か、眼精疲労の要素はないか、逆まつげやアレルギー性結膜炎など目の表面に異常はないかなどについて診察を受けられることをお勧めします。

徳島新聞2008年2月17日号より転載

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