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【質問】 眼球にごみが付いている感じ

 60代の主婦です。先日テレビを見ていると、数字が見えにくくなりました。片方ずつ見てみると、左目の眼球にごみが付いている感じがしました。眼科で眼底検査をしてもらったところ、医師に「加齢黄斑変性」と告げられました。この病気について詳しい説明と進行を遅らせる方法などについて教えてください。ちなみに私は約5年前から脳血栓を患って、血液をさらさらにする薬をのんでいます。この病気との関係はありますか。いつも肩が凝って、目の奥の方が重く、気分がすぐれません。



【答え】 加齢黄斑変性 -浸出型には光線力学療法-

徳島大学病院 眼科 内藤 毅

 加齢黄斑変性は、欧米では成人の失明原因の1位を占めていて、大変な問題になっています。日本の現状を調べた研究では、有病率が0.9%で、アメリカの8.8%に比べ低いのですが、最近5年間の発症率は0.8%と、アメリカの0.9%とほぼ同等で、日本での増加傾向が推測されます。

 また、年齢が高くなるに伴って発症率は増加するため、今後さらに高齢化社会が進むにつれて増加が予測されています。人種によって発症に差があり、日本人では「加齢」「男性」「喫煙」が危険因子として挙げられています。

 黄斑は網膜の中心部分で、物を見るときに最も重要な働きをします。加齢黄斑変性とは、この黄斑が加齢に伴って傷付く疾患で、浸出型と委縮型があります。

 委縮型は加齢に伴ってゆっくりと黄斑の網膜細胞が委縮します。一方、浸出型では黄斑の網膜下に新生血管(異常な血管)が出現し、新生血管からの漏出や出血のため、黄斑の機能が低下します。

 病巣の大きさと、黄斑の中心部である中心窩(か)との位置関係でさまざまな症状が出ます。代表的には、物がゆがんで見える変視症、中心部が暗く見えたり、病巣に一致して視野が欠損して見えたりする中心暗点があります。病巣の拡大によって症状が悪化していきますが、特に中心窩の機能が高度に低下すると、急激な視力障害が出現します。

 加齢黄斑変性の診断と治療には、眼底(網膜)の血管造影検査(蛍光眼底造影)が必要です。蛍光眼底造影を行うことによって、網膜下の新生血管の存在が分かり、診断の確定と治療方針の決定が可能となります。視力、新生血管の大きさ、新生血管と中心窩との位置関係、新生血管の深さ(新生血管が主に網膜下に存在するか、さらに深い色素上皮細胞下に存在するか)などが治療法の選択の重要な情報となります。

 委縮型に対しては有効な治療法はなく、循環改善薬などが試みられます。一方、浸出型は薬物療法、レーザー網膜光凝固、黄斑下の新生血管を手術的に直接除去する黄斑下手術、さらに最近では網膜下の新生血管を選択的に凝固する光線力学療法などが行われています。各治療法には適応があり、患者さんの状態によって決定しますが、光線力学療法が主流となりつつあります。

 いつも肩が凝り、目の奥の方が重く、気分がすぐれないとのことですが、人間の目は両眼の機能のバランスが重要です。両眼が同等に見えることによって快適な日常生活を送ることができます。恐らく左右の見え方の差によって生じる眼精疲労(疲れ目)から、肩凝りや、目の奥が重く気分が優れないという症状が表れていると思われます。ただ脳血栓や、それに対する治療はこの病気とは関係ありません。

 予防法としては、喫煙が危険因子として挙げられていますので、喫煙者はぜひ禁煙してもらいたいと思います。さらに有害光線である紫外線を避けるため、サングラスの着用も長期的には有効と思われます。また健康補助食品(サプリメント)も進行を遅らせるのに有効との報告があります。


徳島新聞2005年11月27日号より転載

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