徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

【質問】 視野に黒い虫のようなものが・・・

 60歳の主婦です。5~6年前から、疲れたなと感じたときに、小さな黒い虫のようなものが飛び回っているのが視野に入ります。特に、バックが白いとよく見えます。入浴中に「あっ、虫だ」と手で追い払ったこともあるほどです。近所の人に話をすると、年寄りになるとだれでも出てくる症状で心配ない、と言ってくれました。このため、まだ眼科では診察を受けていません。最近、娘のマンションの掃除などに狩り出されると、疲れがたまるせいか、虫の飛ぶ日が増えているようで気になっています。虫が飛び始めると気分も憂鬱で、物事に集中できません。このまま放置しておいて大丈夫なのでしょうか?



【答え】 飛蚊症-老化だが要治療の場合も-

鎌田眼科 院長 鎌田 一一(徳島市二軒屋町)

 結論を申しますと、そのままにしておいてはいけません。眼科医の診察を受けてください。治療しなければいけない場合があるからです。

 黒い虫が飛ぶのが見える症状を「飛蚊(ひぶん)症」といいます。その本体は硝子(しょうし)体というところにあります。硝子体は眼球の中で最も大きい容積を占め、玉子の白身のように見えます。無色透明の「膠原(こうげん)線維」が集まってドロドロの状態になったものです。年をとると、これらの繊維が濁ってくることがあります。髪の毛が白髪になるのと同じ老化現象です。

 繊維が濁ると、それが網膜に黒い影を落とし、白い壁や本を見たときにに黒い虫、蚊、すす、あるいは糸くずが飛ぶように感じられます。1個あるいは数個みえ、眼を動かす度に一緒に揺れて見えます。これを「硝子体混濁」といいます。

 年をとるにつれ、硝子体はゼリー状から液状に変化し、収縮して後ろの網膜から離れてきます(硝子体剥離=はくり)。強い近視の人は若いときでも起こる可能性があります。

 母親のおなかの中で眼球がつくられるときは、硝子体内に血管が通っていますが、眼球が完成するとなくなってしまいます。なくならずに残ったものが黒い虫のように感じられることがあり、これを「生理的飛蚊症」といいます。

 これらの飛蚊症は、多少うっとおしいと感じていても、慣れれば特に問題はありません。治療しても消えないし、治療の必要もありません。ところが、飛蚊症もこれから述べるような場合は放っておいてはいけません。 

 また、糖尿病、高血圧、動脈硬化などの場合、網膜に出血し、それが硝子体に流れ込んで黒い影の見えることがあります。このケースは出血に対する治療が必要です。

 さらに、眼球に細菌やウイルスが侵入したり、アレルギー反応により炎症が起き、ブドウ膜炎という病気になって飛蚊症を感じることもあります。これも大変な病気で、早く治療しないと失明してしまいます。

 黒い虫が飛ぶだけでなく、ピカッピカッと光が走るのを感じることもあります。収縮した硝子体が網膜を引っ張っり、網膜が刺激されて閃光(せんこう=瞬間的に発する光)を感じるのです。網膜が引っ張られ、裂けて穴があくと、網膜は下の層からはがれて硝子体の方に浮き出します。これが「網膜剥離」で、すぐ治療しないと失明します。網膜剥離が起こると黒い影が急に増えたり、見える範囲の一部分が見えにくくなったり、ゆがんで見えたりします。

 「年が寄ると、黒いものが飛ぶことはだれにでもある」などと言って、放っておいてはいけないことがお分かりになったと思います。

徳島新聞1998年11月1日号より転載

  • 感染症について
  • 研修医募集のお知らせ
  • 広報出版物
  • 東日本大震災に関する情報
  • 徳島県医師会は混合診療解禁に反対です
© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.