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 人と動物の違いは歩くことと言葉を使うことです。この2つによって人は動物と分かれたと言っても過言ではありません。人は1歳ころに単語を話しはじめ、つたい歩きからひとり歩きを始めます。しかし歩行や言葉の発達には個人差があります。1歳で歩かない子やしゃべらない子を経過観察してみると、ほとんどは1歳半までには言葉も歩行もできるようになります。従って、1歳6ヵ月健診は赤ちゃんが人間らしく発育しているかをチェックする最初のポイントになります。

 ころばないで上手に歩くことができ、意味のある単語を話す、絵本を見てワンワンなどの知っている動物を指差し、人形や自動車などを与えると抱いたり押して走らせたりします。ボールを転がすなど、相手をしてやるととても喜んで遊ぶようになります。つまりこの時期、発達のレベルは乳児期に中脳優位であった状態から大脳半球優位に変わることで運動面、言語面、生活習慣や社会性などにおいて、赤ちゃんが人間らしくなる最初の時期であると言えます。

 1歳6ヵ月健診では、乳児期に疑われていた軽度の脳性麻痺、精神運動発達遅滞、自閉症、聴力障害などを明らかにしなければなりません。とくに言葉の発達からは聴力障害の有無や知的発達の遅れがないか、コミュニケーションの障害がないかなどをチェックする必要があります。聴力障害、知的発達障害、自閉症はいずれも早期発見により早期に治療や教育的配慮をする必要があり、1歳6ヵ月は診断するのに大変重要な時期と考えられます。

 またこの時期には離乳食が完了し、排尿や排便のしつけが始まる時期です。生活リズムが確立して、昼間の活動が増加するとともに夜間の睡眠も安定してきます。自分の名前に反応し、他の子どもにも興味を示します。さらに1歳過ぎまでに完了する必要があるポリオ、BCG、3種混合、麻疹ワクチンなど定期予防接種が出来ているかの確認をしておかなければなりません。1歳6ヵ月健診はとても大切な健診であることを覚えていてください。

2003年12月23日掲載

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