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 子どもをあやすつもりで縦に抱いて激しく揺すぶると、時に脳出血を起こして重篤な脳障害を来たすことがあります。とくにまだ首が座っていない乳児ではこの危険性が高くなります。乳幼児に対する乱暴な取り扱いは時として乳幼児の虐待と考えられるものもあり慎重な対応が求められます。乳幼児を喜ばせる目的であっても、その結果が障害を来たすものであってはなりません。

 養育者が乳幼児の両脇を持って激しく揺さぶると、2歳未満の乳幼児、とくに6ヵ月未満の乳児には硬膜下血腫やくも膜下出血、網膜出血が多く見られます。多くの症状はけいれんや意識障害、チアノーゼや顔面蒼白などで発症します。その症状は軽微な場合にはあまりはっきりせず、CTスキャンなどを検査しなければ出血を確定することが出来ないこともあります。

 この疾患が乳児に発症しやすいのは、乳児の頭部が身体に比べて重いこと、頚部の力が弱いこと、乳児の脳組織が柔らかいためで、揺さぶりによって脳に加速・減速・回転などの力が強く作用する結果、脳表面にある大きな静脈と脳内を結ぶ細い血管がその結合部で破綻しやすく、硬膜下血腫やくも膜下出血を起こしやすいとされます。その他、脳挫傷や頚髄損傷なども起こることがあるとされます。

 揺さぶられっ子症候群は欧米では虐待と考えられると言われます。脳障害を来たす可能性がある行為を、それと知らずに行うことが問題にされるのです。本症が起こる状況として、

1. 故意に行う虐待の場合、
2. あやすつもりで行う誤った育児行為、
3. 泣き止まない時に背中を強く叩くことや、落ちそうになった時に
  とっさに腕をつかんで引っ張り上げる時

など無意識の行為があります。

 本症ははっきりと診断がつかなければ乳幼児突然死症候群と診断されたり、後遺症による脳性麻痺や精神遅滞、てんかんなどの原因不明疾患とされていることも考えられます。無意識に行った揺さぶり行為が重篤な疾患を引き起こすことを知って乱暴な取り扱いに注意して下さい。

2003年5月20日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.