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 熱性けいれんは健康な子どもに見られ、大部分が自然に治ってしまう疾患ですが、中には熱性けいれんから将来てんかんを発病する人や二次的な脳障害を来す人もあり注意が必要です。自然に治ってしまう単純性熱性けいれんは、発作の持続時間も短く、発作型も左右対称性で、ほとんどが1~2回のみの発作で5歳くらいまでには治ってしまいます。発作が何回も反復するもの、長時間持続するもの、同じ日に繰り返すもの、けいれん発作の左右差が著しいものなどは複雑性熱性けいれんと呼ばれ治療や検査が必要な熱性けいれんとして区別されます。

 熱性けいれんが初めて起こった時には、てんかん発作と同じような症状で、両者を区別することは出来ません。しかし脳性麻痺や発達遅滞など脳に障害を持つと考えられる子どもが熱性けいれんを起こした場合には、てんかんが発熱をきっかけに発病した可能性をまず第一に考えておかなければなりません。また熱性けいれんで問題になるのは、けいれんの持続時間が長いものや、4時間以内にけいれんが反復して起こる場合で発作が重積する時にはけいれんの原因検索はもちろん、早期にけいれんを止めることが大切です。

 一般に熱性けいれんは数分で自然に止まりますが、15分以上も続く時には速やかに止める必要があります。長いけいれんには脳炎・脳症、血糖や電解質異常などの代謝異常が原因として隠れていることがありますし、長いけいれんの後には低酸素症から脳障害を起こすこともあります。けいれん発作が片側に優位で左右差が著明な場合には、脳の血管障害や外傷、腫瘍などの異常がある場合もあり脳波以外のCTやMRIなど画像診断が必要となります。これらの長いけいれんや反復する発作を経験した時には精密検査と共に早期に完全にけいれんを止めることが、二次的な脳障害を予防する上で大切なことです。

2003年2月18日掲載

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