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 喘息発作の呼吸困難は空気の通り道が狭くなったために起こる症状です。発作時のヒューヒューやゼーゼーなどの異常な呼吸音は狭い気管支を空気が無理に通過する時に聞こえる音です。喘息発作の時に気道が狭くなるのは、
(1)気管支が攣縮する、
(2)気管支粘膜が腫脹する、
(3)気管支の内腔が喀痰によって閉塞する、
の3つの現象によるものです。発作はアルゲンを吸入することによって、気管支の平滑筋が収縮することで始まります。ウイルスや化学物質によって気管支粘膜が傷害されると、アレルゲンはそこから体内に侵入し、気管支でアレルギー反応を起こして発作が起こるのです。

 喘息発作時の治療の第一は、気道狭窄の原因である気管支平滑筋の攣縮を取り除く、気管支拡張剤が最初に使用する薬剤です。気管支拡張剤には大きく分けてキサンチン誘導体とβ2刺激剤の2種類があります。これらの薬剤には投与方法によって注射薬、内服薬、吸入薬、座薬、貼付薬などがあります。この中で最も早く気管支に使用するのは吸入薬です。吸入薬は大人や年長児ではハンドネブライザーで使用することが可能ですが、乳幼児で使用するには困難を伴います。そこで定期的に吸入療法が必要な人は電動式吸入器を使用します。しかしこれには器械の購入に費用がかかること、吸入するのに時間がかかることなどの欠点もあります。ハンドネブライザーは軽量で手技は簡単ですが、大きな発作の時には使用出来ず、使用過多による副作用が出現しやすいなどの欠点があります。

 気管支拡張剤には薬剤の種類や剤型によって作用の持続時間が異なります。注射や吸入で使用すると効果が早く出現しますが、効果の持続も短時間です。発作のコントロールには内服薬や貼付薬などの持続時間の長い薬剤を組み合わせて使用します。喘息に対しては早期に十分な治療をして発作を抑制すると同時に再発を抑制して発作を完全にコントロールすることが大切です。

2002年11月19日掲載

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