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県民の皆さまへ

 以前は病院で診察が終わればそこで薬をもらうことがあたり前でしたが、最近では病院からは処方せんをもらうだけで、薬は調剤薬局で受け取る院外処方が多くなりました。院外処方は患者さんにとって、手間も費用も少し余分にかかりますが、使い方によっては便利なものです。今月は薬についてお話ししたいと思います。

 患者さんによって薬に対する考え方は様様です。出来るだけ薬を使わないで病気を治して欲しいという人から、少しでも早く薬を使ってなるべく早く病気を治したいという人までいます。薬は診察の最終段階で最も治療を反映するものですが、その薬がどういう働きをして、なぜ必要なのかを理解しておくことが大切です。治療には、大きく2つに分けて原因療法対症療法があります。感染症を例にとりますと、細菌が原因の感染症に対しては、その細菌を殺す抗生物質が原因療法です。感染症にともなう発熱や咳などの症状を抑える解熱剤や咳止めなどの薬は対症療法です。従ってウイルスが原因の風邪に対して、抗生物質は原因療法にはなりません。ウイルス性疾患ではインフルエンザや水痘を除けば、ほとんどが対症療法になります。

 薬物療法を行う時、その薬が原因に対してどうしても必要なものなのか、症状が無くなれば中止しても良い薬なのかを十分に理解しておくことが大切です。発熱に対する解熱剤のように熱がある時のみ使用する薬が対症療法薬です。対症療法は症状が無くなればすみやかに中止します。反対に原因療法は目の前の症状が無くなっても一定期間は続けなくてはなりません。細菌感染症では熱が下がった時に解熱剤は中止しますが、抗生物質をすぐに中止することはありません。

 小児科を受診する子どもの多くは発熱を主訴とする風邪ですが、体力や抵抗力が落ちている乳幼児や、扁桃炎や中耳炎などの合併症がある時に抗生剤を使うことは当然です。しかしこのような場合でも治癒した場合には、出来るだけ早期に抗生物質を中止することは言うまでもありません。

2002年9月10日掲載

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