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県民の皆さまへ

 前回まではウイルス感染にともなう発疹性疾患についてお話ししました。今回は細菌感染症の中で発疹が出る代表的な疾患、溶連菌感染症についてお話ししようと思います。従来、溶連菌感染症は猩紅熱と言われ、法定伝染病に指定されるほど伝染力が強く抗生物質のない時代には恐い病気とされていました。溶連菌感染症は発熱や咽頭痛と発疹を特徴とする病気ですが、咽頭炎や扁桃炎の原因として溶連菌が検出されることは珍しいことではありません。リウマチ熱や急性腎炎などが溶連菌感染症の後に発病することが知られています。従って、発疹の出ている間に正確に診断をつけて確実に治療する必要があります。

 溶連菌は春から初夏に流行が見られることが多い疾患で、発熱とともに発疹が出現します。発疹は手足の先から上下肢へ広がり、外陰部や頚部から腹部や背中へ、また顔面へ拡大して徐々に全身い広がります。最初は粟粒大の発疹ですが癒合して紅斑になり、かゆみを伴います。この時期に高熱、咽喉炎・扁桃炎を示し、舌はいちご状に赤くなります。顔面も発赤しますが、口の周囲のみ蒼白になります。発疹は後に薄く皮が剥け全身が糠状になることがあります。最近は咽頭炎の存在だけで抗生剤の投与が早めに行われるようになったために、典型的な猩紅熱を見ることは稀になりました。

 溶連菌には比較的、抗生物質がよく効くために初期の治療に悩むことはありません。ただし発熱などの症状がとれただけで、早期に治療を止めてしまうと溶連菌が再び出現するため、初期の治療に続いて7~10日間くらいの抗生物質の投与が必要だと考えられています。きちんと服薬している患者さんについて、発熱や咽頭痛などの急性期の症状がなくなれば、発疹が残っていても、咽喉から溶連菌が出ることはありません。従ってこの時期に患者さんを隔離する必要はありません。

2002年5月28日掲載

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