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【答え】 酒さ -薬でコントロールを-

徳島県立中央病院 皮膚科 敷地 孝法

 ほっぺたが赤い状態を周囲から「まあかわいい」と言われるのは赤ちゃんから学童期にかけてくらいまでで、思春期を過ぎると赤ら顔はどの年代でも悩みの種となってきます。一口に顔が赤いといってもその原因は多岐にわたり、ありふれた病気から全身の精査が必要となる疾患までさまざまです。

 例えば、化粧品などによるかぶれや、アトピー性皮膚炎、にきび、リンゴ病などのウイルス感染症、膠原(こうげん)病、薬剤の影響などが挙げられます。しかし、これらの病気は顔が赤い以外に、熱が出たり発疹(ほっしん)が顔以外にもあったりするなど何らかの特徴的な症状や所見がありますので、それらを手掛かりに鑑別することが可能です。

 相談の人が、80歳を超えた高齢者で<1>特にほおが赤くなる<2>気温の影響を受けやすい<3>お酒を飲んでいる人のような顔になる-ことから推察すると、まずは「酒(しゅ)さ」という病気が考えられます。

 酒さという病気は、日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、白色人種ではよくあります。発症する年齢は主に中高年以降で、男性よりも女性に多い傾向があります。

 症状は、繰り返す顔のほてりが先行し、数カ月かけてほお、額、あごなどにほぼ左右対称性のはっきりとした赤みが出てきます。その赤みは、ただ赤いのに加え、毛細血管拡張という細い血管が浮き出てくる状態が混在しているのが特徴です。

 その様子は、指摘の通り、酒飲みの顔によく例えられます。ひどい場合は鼻瘤(びりゅう)といって鼻が隆起してくることもまれにありますが、一般的に女性は軽症が多いといわれています。かゆみはないことが多いですが、ほとんどの患者が部屋の温度や精神的な緊張に影響を受けて、赤みがひどくなったときに強いほてり感を訴えます。

 酒さの原因は残念ながら、明らかではありません。ただ女性患者の多くが閉経前後に生じていることから、エストロゲンの分泌低下などのホルモン異常が関与すると考えられています。ホルモン異常は加齢による生理的な変化の場合が多いですが、中には胃がんなどの腫瘍(しゅよう)がホルモンを産生していたとの報告もあります。ほかに、ステロイド外用剤を顔面に多用・誤用することによって生じる医原性の病態(酒さ様皮膚炎)もあります。

 酒さの治療には特効薬はなく、長期戦を覚悟しなければなりませんが、内服薬や局所療法でコントロールすることは十分可能です。一番に使われる内服薬はテトラサイクリン系の抗生物質です。これは細菌を退治するというよりは、その特殊な抗炎症効果に期待するものです。効果はすぐには表れず、1~2カ月服用することが必要です。

 また、ある種の漢方薬やメトロニダゾールという抗原虫薬が有効な場合があります。局所療法としては、まずは日光や化粧品などあらゆる刺激になるものを避けることが大事です。外用薬として、私はワセリン、オイラックス、タクロリムス軟膏などを使い分けています。受診するのは、皮膚科開業医か総合病院の皮膚科がいいでしょう。

徳島新聞2008年2月3日号より転載

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