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 麻疹は症状が重い上にウイルスに対する特別有効な治療法がありませんから、普通にかかるだけでも大変な病気です。さらに麻疹には多くの合併症が見られます。これは麻疹ウイルスに侵されると抵抗力が落ちるからです。

 麻疹の合併症でもっとも多いのは呼吸器系の合併症で、気管支炎や肺炎がよく見られます。とくに肺炎には麻疹ウイルスに直接侵されるウイルス性肺炎と、二次性の細菌感染による細菌性肺炎があります。

 細菌性肺炎の原因菌は肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌など一般の細菌性肺炎と同じですが、抵抗力が低下しているために重症化することがあります。

 麻疹の合併症には中耳炎が多く見られます。乳幼児では耳の痛みを訴えないので、耳から膿(うみ)が出てはじめて気づかれることがあります。

 さらに合併症の中でも大切なものに中枢神経系の合併症があります。麻疹脳炎と亜急性硬化性全脳炎(SSPE)です。

 麻疹脳炎の発生率は麻疹患者1000人に1人とされます。麻疹発病後2週間以内に見られることが多いとされます。麻疹脳炎の死亡率は約15%、後遺症を残す率が20~40%とされます。後遺症には精神発達遅滞、けいれん、異常行動、麻痺などが見られます。

 SSPEは麻疹にかかった後、10年くらいして、学童期に発病することがあります。知能傷害や行動異常、運動障害などが徐々に出現して進行します。さまざまな治療が行われますが、けいれんや不随意運動が出現、悪化してやがて死の転帰をとる怖い病気です。

 SSPEの発病率は100万人に1人ですが、麻疹ワクチンを2回接種して麻疹を制圧した欧米ではほとんど見られなくなったと言われます。

 日本では副作用を恐れるあまり子どもを感染症から守るというワクチン本来の目的が忘れられていることがあります。わが国のワクチン行政は欧米をはじめ全世界的には後進国になっていることを知っておく必要があります。ワクチンは誰のためでもなく、真に子どもの健康を守るためのものなのです。

2007年10月24日掲載

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