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【答え】 冷え性 -生活改善や漢方薬が効果的-

たかはし内科 高橋浩子(徳島市国府町観音寺)

 冷え症は病名ではなく症状名で、男性より女性に多く見られます。女性は、全身に血を巡らせる心臓のポンプの働きや、血を末梢(まっしょう)まで運ぶ筋肉の働きが弱いほか、女性ホルモンがストレスなどの影響を受けやすく、自律神経のバランスが崩れて体温を調節する働きが低下しやすいためです。薄着や冷房などの生活環境も冷え症の原因になります。体質だからしょうがないのではなく、冷え症にはちゃんと治療法があります。

 西洋医学では冷え症は病気ではないので、温める薬というのはほとんどありません。これに対し東洋医学では、冷えは頭痛や肩こり、関節の痛みやしびれ、便秘、下痢、いらいらや不眠など、いろいろな症状の原因と考えますので、温める漢方薬はたくさんあります。

 冷え症を改善すると、肩こりや頭痛、不眠など他の症状も良くなることが多いため、幅広い症状の治療に体を温める漢方薬が使われます。ニンジン、ショウガ、ニンニクは漢方薬を構成する生薬で、蒸したり乾燥させたりしたものを薬として組み合わせて使いますので、食材として食べるよりも、漢方薬として飲む方が温める効果が強いと思います。

 冷え症にもいろいろなタイプがあります。手足の冷え症は、寒い季節や冷房などで手足の先を中心に強い冷えやしびれを感じるタイプです。末梢血流が悪くなって起こります。しもやけになったり、手足の先が白くなったりすることもあります。漢方薬では末梢の血流を改善する生薬が配合された当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)や五積散(ごしゃくさん)が使われます。

 胃腸の冷え症は、冷たい飲食物を取りすぎたり、冷房で冷やされたりすると下痢や腹痛を起こすようなタイプです。冷えると肩こりや頭痛が起こることも多く、温めると楽になります。自分の生活習慣を見直すことも大事です。漢方薬では、おなかを温める生薬が多く配合された人参湯や大建中湯(だいけんちゅうとう)が効果的です。

 足腰の冷え症は、腰から足にかけて冷えやだるさ、しびれを感じ、下半身が水に漬かっているように冷たいと表現する人もいます。中高年に多く見られます。相談者はこのタイプの冷え症のようです。

 このような人は、下半身の筋力低下が冷えの一因になります。衣服や毛布で保温するだけではなく、散歩や体操などで適切に体を動かして筋力をアップすることが大事です。

 また、腰の高さまでのお湯に出たり入ったりする半身浴もお勧めです。冷え症が良くなれば、眠りも良くなります。漢方薬では、八味地黄丸(はちみじおうがん)、苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)、温経湯(うんけいとう)などが効果的です。

 冷えのぼせは、下半身が冷え、上半身はのぼせて、額に汗をかいたりします。更年期の女性によく見られます。女神散(にょしんさん)や加味逍遙散(かみしょうようさん)をよく使います。

 漢方薬は早く効き目が出ることも多く、健康保険の適応ですから多くの医師が処方しています。冷え症の人は体質だと諦めず、かかりつけ医に気軽に相談してください。そして、漢方薬や生活の改善で冷え症を吹っ飛ばし、毎日元気に過ごしましょう。

徳島新聞2012年6月24日号より転載

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