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【答え】 白内障 -精密検査で原因究明を-

藤田眼科 医師 中茎敏明(徳島市佐古六番町)

 白内障の手術をされてから、二重に見えたりまぶしく見えたりして、良くならずに悩まれているようです。最近の白内障手術は、正確、安全に行われるため、手術後の結果は良く、ほとんどの方は満足されます。

 白内障手術は、カメラでいえばレンズに相当する水晶体の濁りを取って、透明な眼内レンズに置き換える手術です。手術後1年たっても物が二重に見え、まぶしく感じ、半時間と物を見ることができないという症状は、白内障手術後に起こる一般的な症状ではないように思われます。

 物が二重に見える症状は複視と呼ばれます。白内障手術をすると物がくっきり見えるようになるため、手術前には気付かなかった複視の症状が現れることがあります。複視には、両目で見ているときに起こる両眼複視と、片目で見ても二重に見える単眼複視があります。

 両眼複視は、片目を閉じると症状がなくなって一つに見えます。これは、右目と左目がそれぞれ違う像を見ているからです。両眼複視の原因は、眼球を動かす筋肉の麻痺(まひ)で、どちらか、あるいは両方の眼球の動きが悪くなったときに起こります。糖尿病や脳の疾患などがある場合に起こりますので、内科、脳外科での精密検査が必要です。

 その他の原因としては、眼球の位置がずれている斜視、両目の屈折(近視や遠視)が極度に違うための視力の差、網膜の疾患なども考えられます。

 単眼複視は、角膜のゆがみである乱視や、屈折異常である近視、遠視などが原因で起こります。眼鏡をかけることで改善できることがほとんどですが、角膜の複雑なゆがみがある不正乱視が強い場合には、良くならないこともあります。

 次に、白内障手術後のまぶしさですが、白内障手術は水晶体にあった濁りを取る手術なので、手術後にまぶしさを感じることはよくあります。ただ、まぶしさには次第に慣れてきて、3カ月程度で気にならなくなることが一般的です。

 それ以外のまぶしさの原因としては、眼内レンズを入れてある水晶体の袋が濁る後発白内障、まぶたの痙攣(けいれん)である眼瞼(がんけん)痙攣、涙の量や分泌の異常によるドライアイ、目の中の炎症であるぶどう膜炎なども挙げられます。

 後発白内障に対しては、袋の濁りを取るレーザー治療が行われ、視力も改善しますし、まぶしさもなくなります。白内障手術を受けられた眼科で、再度、精密検査を受けられてはどうでしょうか。

 また、自律神経失調症などでもまぶしく感じることがあります。これは、自律神経の異常で瞳孔(どうこう)の大きさの調節がうまくいかず、目の中に光が入りすぎることが原因です。まぶしさを少しでも軽くするためには、日差しの強いときの外出を控え、サングラスや遮光眼鏡をかけることをお勧めします。

 目や身体の状態は日によっても変化することがあるため、1回の受診ではその原因が分からないこともあります。原因が分かれば対処法もありますので、定期的に眼科専門医を受診されることをお勧めします。

徳島新聞2011年6月12日号より転載

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