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手術しなくても治せるか
 【質問】左膝の裏側に、青い血管が浮き出て見えるようになりました。病院で診てもらったところ、軽い下肢静脈瘤(りゅう)と言われました。今は日常生活に支障はないものの、気になります。手術で治すことができると聞きましたが、どのような手術なのでしょうか。また、手術は早めに受けた方がいいのか、他にも改善方法はあるのか教えてください。
  中井義廣 先生  きたじま田岡病院血管外科 
 エコー検査を受け判断    【答え】足の静脈は血液を心臓に戻す役割があります。下肢静脈瘤は、静脈の逆流を防ぐ弁が壊れ、血液の循環が滞ることで起こります。浮き出た静脈の太さや症状により4種類に分類されます。
 クモの巣状静脈瘤と網目状静脈瘤は、皮膚から浅いところで起こり、赤や青の血管が透けてクモの巣や網目のように見えるのが特徴です。網目状の方がクモの巣状よりやや太く、血管の太さが1~3ミリ程度になります。
 皮下脂肪の中にある伏在静脈が膨れる伏在静脈瘤は、弁が壊れた箇所により2種類に分かれます。足の付け根にある弁が壊れ、太ももの内側からふくらはぎの内側にこぶができるのが大伏在静脈瘤、膝の裏側の弁が壊れてふくらはぎにこぶができるのが小伏在静脈瘤です。
 側枝静脈瘤は、伏在静脈から枝分かれしたやや細い血管が浮き出た状態になります。ボコボコとしたこぶ状になるため、一見して分かります。伏在静脈瘤に伴って発生する場合もあります。
 病院で軽い静脈瘤と言われた質問者は、クモの巣状静脈瘤か網目状静脈瘤の可能性があります。小伏在静脈瘤に伴う側枝静脈瘤も考えられます。エコー検査できちんと調べる必要がありますが、日常生活に支障がなければ、このまま経過をみてもよさそうです。
 治療に関しては、クモの巣状静脈瘤と網目状静脈瘤は、放っておいても問題はありません。美容面で気になる人には、硬化療法が有効です。硬化剤を注入して血管の内側をくっつけるようにつぶし、血液を流れにくくする治療法で、透けていた血管はみるみる消えていきます。静脈に血液が流れなくなっても支障はありません。
 足が「だるくて重い」「つる」「むくむ」など中等度以上の伏在静脈瘤の症状があれば、手術も考えましょう。特に、かゆみや色素沈着といった皮膚症状、皮膚潰瘍があるときは急ぎます。近年は、静脈を内側からレーザーなどで焼きつぶす治療法が普及しています。軽い静脈瘤であれば、弾性ストッキングによる圧迫療法もあります。
 エコー検査を受ければ、治療が必要か、どのような治療が有効かを診断できます。まずはエコー検査を受け、病状を踏まえた適切な対応を選んでください。

 

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