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【質問】 親指の付け根の痛み

 40代の男性です。左手親指の付け根に痛みを感じ、3月から通院しています。仕事で日常的にパソコンを使っているために腱鞘炎(けんしょうえん)になったのではないかと思い、注射治療、痛み止めの薬、湿布で経過をみていますが、4カ月が過ぎても慢性的な痛みは治まりそうにありません。リウマチも長引くと聞きますが、腱鞘炎とはどう違うのでしょうか。リウマチの場合、日常生活で気を付けることや食事で悪化を抑える方法はありますか。



【答え】 腱鞘炎・関節症 -関節リウマチの可能性も-

おおた整形外科クリニック 大田耕司(美馬市脇町馬木)

 親指の付け根周辺に痛みを起こす疾患としては、付け根の腱鞘炎(ばね指)、母指CM関節症、ドケルバン腱鞘炎などが挙げられます。

 ばね指は、指の付け根で指を曲げる屈筋腱とそれを覆っているさや(腱鞘)との間で炎症が生じ、腱がスムーズに動かなくなって痛みや指の動きを制限するばね現象が生じた状態です。仕事やスポーツなどで手をよく使う人に多く起こります。

 母指CM関節症は、親指の付け根の手前の甲の骨(第1中手骨)と手首の骨(大菱形骨)との間の関節の使い過ぎや老化によって生じた変形性関節症で、物をつまむなどして親指に力を入れると手首の親指の付け根に痛みが生じます。

 ドケルバン腱鞘炎は、親指を伸ばしたり広げたりするための腱の手首の所に生じる腱鞘炎で、親指の動きによって手首の親指側に痛みが起きます。

 ご相談の方は、左親指の付け根の痛みが慢性的に続くことで関節リウマチを心配されていますが、親指付け根の関節に痛みが限られ、他の関節に症状がないことや、日常的にパソコンで指を駆使していることから考えると、まずは前述の腱鞘炎やCM関節症が疑われると思います。

 ただ、注射や痛み止めの内服、湿布による治療を行っても痛みが改善しないことから、手の使い過ぎによる腱鞘炎や関節症以外の原因も考えられます。心配されている関節リウマチでも腱鞘炎は発生します。

 関節リウマチは、自分の体を守るべき免疫が乱れたことにより、関節内の滑膜炎を引き起こしてくる自己免疫疾患(膠原(こうげん)病)の一つです。

 最初は両手の指の関節が対称性に腫れ、特に朝にこわばるようになります。滑膜の炎症が進行すると、関節の軟骨や骨に広まり、破壊してしまいます。

 関節リウマチの診断は、滑膜炎による関節の腫れや痛みの有無とともに、血液検査での炎症反応の上昇、リウマチ因子や抗CCP抗体の上昇の有無などを調べることで行います。

 ご相談の方の場合、4カ月以上の慢性的な経過を経ているとのことですが、もし、関節の滑膜の腫れがあり、血液検査で上述の炎症反応や自己抗体が陽性であれば、初期のリウマチの可能性もあります。

 関節リウマチの治療の主体は薬物療法です。近年、生物学的製剤という新しい薬の出現により関節リウマチの治療は大きく変わりました。発症早期から適切な抗リウマチ薬や生物学的製剤を使用することで、関節の破壊を抑えられることが実証されています。

 そのためには早期診断の上で、積極的な薬物療法を行うことが重要であり、まずは整形外科やリウマチ科での診察を受けることが必要と思います。

徳島新聞2012年8月12日号より転載

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