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【質問】 病院で取っても再発

 60代の女性です。数年前から右足の中指付近に「うおのめ」ができ、歩くと痛くて困っています。病院で取ってもらっても半月ほどで元通りになります。根本的に治すことはできないのでしょうか。レーザー治療があると聞きましたが、効果はあるのでしょうか。



【答え】 うおのめ -足に合う靴で刺激解消-

大崎皮膚科医院 副院長 飛田泰斗史

 歩行時の痛みで、大変つらい日々を送っていることと思います。うおのめは歩行時に疼痛(とうつう)が強く出るため、患者さんの活動性を低下させ、日常生活にも影響を与えます。そこで患者自身も、うおのめについてよく知り、その対策を講じることが重要です。

 うおのめは医学的には鶏眼(けいがん)と言います。鶏眼の本体は限局性の角質増殖です。円すい形に角質が増殖するのですが、そのとがった先端が足に刺さるため、歩行時に痛みを生じます。

 原因は、機械的刺激が繰り返し加わることです。例えば、足型に合わない靴を履いたり、足の一部が歩行時に常に圧迫を受けたりすることなども原因になります。また、骨や関節が突出している部位が歩行時に靴に当たって、鶏眼が生じることもあります。

 円すい形に角質が増殖したのが痛みの原因なので、治療では、同部を除去することが必要です。具体的には、病巣の表面を数ミリ程度削り、中心の角質柱を円すい形に摘除します。この角質柱を取り除くことが重要で、この処置がうまくいけば、歩行時の痛みは劇的に消失します。

 ご質問には「半月ほどで元通りに」とあります。確かに、鶏眼は再発が多いことで知られています。これは鶏眼の形成メカニズムに由来します。つまり、機械的刺激が解消されない場合に再発するのです。

 機械的刺激を減らす対策は患者ごとに異なります。足型に一致した靴と、皮膚との摩擦が少ない靴下を履くことも大切です。靴底は適度に固いものを選びましょう。歩行時、足底面に平均的に体重がかかるような靴がいいです。ハイヒールのようなかかとの高い靴は、足の先端部に体重が集中してしまうため、よくありません。

 末梢(まっしょう)性、あるいは中枢性の神経の病気から生じる歩行困難によって、足底の一部が歩行時に常に圧迫を受けることなども、鶏眼の原因になります。このような場合は、整形外科的な装具が必要になる場合もあります。装具の中には、足底の圧迫部位の緩和を目的とした足底板もあります。

 スピール膏(こう)など角質溶解薬の貼付も有効です。4~5日間貼っていると、鶏眼が白く柔らかくなり、摘除しやすくなります。これは毎日貼り換える必要はありません。むしろ毎日交換すると薬面が患部に密着しにくいので、かえって治癒が遅れます。

 入浴時も使用したままで問題ありませんが、ぬれてはがれないように注意してください。ぬれた場合でも、水分をよく拭き取ってそのまま使用できますが、はがれた場合は交換してください。

 ただ、注意しなければいけないのは、鶏眼に似た病気としてウイルス性疣贅(ゆうぜい)があることです。臨床症状はそっくりですが、この病気はヒト乳頭腫ウイルスの感染症です。見た目が似ているだけでなく、足底にできた場合は歩行時に痛みも伴うことがあるため、よく鶏眼と間違えられます。

 ご質問にレーザー治療に関することがありましたが、難治な足底のウイルス性疣贅に炭酸ガスレーザーを使用する施設もあると聞きます。しかし、鶏眼に対する治療としては、現在はあまり一般的ではないように思います。

 いずれにしても、よく似た皮膚疾患もあることですから、お近くの皮膚科でご相談されることをお勧めいたします。

徳島新聞2012年2月5日号より転載

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