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【質問】 肩の水抜いても腫れる

 60代の女性です。左肩が痛くて受診したところ、直径4センチくらいの水がたまっているらしく、変形性関節症と言われました。水を抜いてもらっても、半日くらいで元のように腫れます。3日ごとに計10回抜きましたが、腫れは一向に引きません。治療方法はないのでしょうか。生活で気を付けることがあれば教えてください。



【回答】 肩関節炎 -効果なければ外科治療も-

はまだ整形外科リウマチクリニック 院長 濱田佳哲(徳島市川内町大松)

 左肩の痛みが続いている上に、約5週間にわたって関節に水がたまっており、治療にもかかわらず改善していないとのこと、さぞつらい思いをされているとお察しします。

 肩に痛みが出る病気の中で、頻度が高いのは五十肩です。五十肩は、痛みのために肩の動きが制限され、日常生活の動作に支障を来します。痛みがひどいときは睡眠が妨げられるほどにもなります。しかし、五十肩では関節に水がたまることはまれです。従って質問者の症状は、おそらく五十肩によるものではないと考えます。

 一般に「関節に水がたまる」と言われる場合の「水」とは、関節液のことです。関節には関節包(ほう)という袋があり、その内側に滑膜(かつまく)と呼ばれる薄い膜があります。この滑膜から関節液が作られます。正常な関節でも少量の関節液は存在し、関節が動く際の潤滑油的な働きをしています。

 しかし質問者のように、関節液を抜く必要がある場合は病的なことが多く、このような病態を関節炎と言います。関節炎の主な症状は、関節の腫れ、関節の痛み、関節に熱を持つ-などです。

 関節炎の原因は、感染によるもの(感染性)と、感染によらないもの(非感染性)とに分類できます。前者は、細菌やウイルスなどの病原体が関節に侵入して起こるもので、いわゆる化膿(かのう)している状態です。後者は、変形性関節症、痛風、関節リウマチなどが原因で起こるものです。

 関節炎の診断は、診察所見と検査所見(血液検査、レントゲン撮影など)を総合して行います。さらに、感染性の関節炎の診断には、関節液中に病原体が存在するか否かの検査が必要です。特に、感染性の関節炎と、非感染性の関節炎を起こす関節リウマチは、早期に適切な治療を行わないと関節が破壊されて機能障害に陥ることになるので、速やかに診断する必要があります。

 関節炎の治療は、感染性の場合、抗生物質の投与と、外科的治療として滑膜切除および関節のドレナージ(汚染した関節液を持続的に排出させること)が必要です。一方、非感染性の場合は、関節液を抜いた後に、ステロイドホルモンの注射剤を関節内に注入する方法がよく行われます。

 質問者の場合、治療が関節液を抜くだけになっているようにも思われます。しかも、治療の効果が出ていないようなので、まずは左肩関節炎の原因が感染によるものか否かを確定させる必要があります。

 感染によるものなら、すぐに前述の外科的治療と抗生物質での治療が必要です。感染によるものでなければ、関節液を抜いた後のステロイドホルモン剤注入療法が効果的と考えます。しかし、この治療も漫然と続けるべきではなく、数回行っても効果がない場合は最終的に滑膜切除などの外科的治療が必要となることもあります。

 以上の点を参考にしていただき、主治医とよく相談して適切な診断と治療を受けることが大切です。

 なお、生活面で気を付ける点は、質問者の場合、左肩関節炎の活動性が高いようなので、できるだけ左肩関節の安静を保ち、関節への負担を軽くするように留意することです。

徳島新聞2011年1月23日号より転載

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