徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

【質問】 せきが長引き息切れも

 43歳の夫が、春ごろからせきをするようになりました。頻度も多くなってきて、たんがからんだような少し長いせきになったり、夜中に激しくせき込んだりすることもあります。夫はもともと健康で、めったに風邪をひかず、こんなに長くせきが続いていたことはありません。少し鼻炎ぎみでもあります。酒は飲みませんが、20年以上、たばこを1日に1箱程度吸っています。最近は息切れもひどいようです。原因は喫煙なのでしょうか。たばこをやめる方法を教えてください。



【回答】 喫煙 -薬物療法や吸わない工夫-

城東整形外科内科副院長 岡田博子(徳島市福島1丁目)

 長引くせきの原因には、肺気腫、慢性気管支炎などの慢性閉塞性肺疾患や、ぜん息、アレルギー、百日ぜきなどたくさんあります。喫煙もその一つと考えられますが、このような呼吸器疾患にかかっていないかを調べることは必要と思われます。

 ご質問はたばこをやめる方法ということなので、ここでは禁煙の方法について説明します。

 禁煙治療には▽薬物療法▽行動療法▽ソーシャルサポートがあります。まず、薬物療法は、医療用医薬品(処方箋が必要)として、ニコチンパッチと経口薬「バレニクリン」があります。ニコチンガムは一般用医薬品で保険適用されないため、ここでは省きます。

 ニコチンパッチは経皮吸収型で、ニコチンを皮膚から吸収させることにより、禁煙時のニコチン離脱状態を和らげ、禁煙を補助することが目的のニコチン代替療法と呼ばれるものです。貼付(ちょうふ)剤で約2カ月間、1日1回張り替えます。徐々にニコチン含有量の少ない製剤を貼付することで禁煙時のイライラ感、集中力が困難になることなどが緩和できます。この間に喫煙すると、体内に過量のニコチンが取り込まれることになり、頭痛、めまいなどが起こる恐れがあります。必ず禁煙を順守しなければなりません。

 経口薬「バレニクリン」についてですが、喫煙は脳内のニコチン受容体がニコチンを欲しがるという考え方から作られたものです。内服することで、たばこを吸ってもニコチン受容体にバレニクリンがくっついているため、喫煙の満足度がなくなります。吐き気、便秘などの副作用があるため少量から徐々に増やしていき、計12週服用します。

 次に行動療法です。禁煙は薬物療法に頼るだけでなく、各人に「禁煙をする!」という心づもりが必要です。周囲に「禁煙するぞ!」と宣言しましょう。手持ちの喫煙具を捨て、禁煙の張り紙をするなどの行動を起こしましょう。宴会を断るか出席してもノンアルコールの飲み物に変え、たばこを欲しくならないようにすることも大切です。日常生活上の工夫では▽氷を口に含む▽歯を磨く▽体を動かす▽深呼吸をする-ことなどで気を紛らせ、再喫煙しない環境をつくることができます。

 最後に、ソーシャルサポートですが、インターネットを利用した禁煙支援や、薬剤師による禁煙支援、また、保健所などで禁煙相談を行っているので活用してみてください。

 「喫煙は病気 喫煙者は患者」といわれています。ご主人の長引くせきの原因が喫煙なら「禁煙することでよくなりますよ」と勧めてください。家族の協力があれば、必ずよい結果が得られると思います。

徳島新聞2010年11月14日号より転載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.