徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

【質問】 薬塗り治まっても再発

 30代の男性です。10年くらい前からみずむしに悩んでいます。皮膚科に行ったり、市販の薬を塗ったりして一時的になくなっても、また再発します。表面上はなくなっても内部に菌が潜んでいると聞きますが、薬はどれくらい塗り続けないといけないのでしょうか。また、靴の中の菌をなくすには天日干しすればいいのですか。



【答え】 足白癬(みずむし)-最低3カ月、足裏全体に-

宇都宮皮膚科泌尿器科 副院長 宇都宮正裕(徳島市吉野本町)

 足白癬(あしはくせん)(みずむし)は、カビである白癬菌が足にすみつく皮膚病です。白癬菌は、皮膚のケラチンというタンパク質を栄養源にします。カビなので高温、多湿を好み、今ごろの梅雨時から夏にかけて繁殖しやすくなります。

 足白癬の症状としては、指の間がジュクジュクしてかゆくなる趾間(しかん)型、水膨れができる小水疱(しょうすいほう)型、足のかかとや足の裏全体が少し硬くなって皮がむけるなどの角化型があります。これらのタイプはしばしば合併します。

 ご質問では、10年間みずむしが治らないということですが、理由としては、薬を長期間および十分な範囲に塗っていない▽角化型である▽爪(つめ)みずむしを合併している▽みずむしではない-などが考えられます。

 まず、薬を塗る期間についてですが、みずむしは皮膚の最も浅い角質層に寄生します。足の裏の皮膚は厚いので、角質層の入れ替え(ターンオーバー)には約3カ月(ほかの部位の皮膚は2週間)かかりますので、少なくとも3カ月は毎日塗る必要があります。

 また、一見みずむしと思われない場所にも白癬菌は存在することもあるので、患部以外の足の裏全体や足の指の間、爪の周辺にも、しっかり薬を塗る必要があります。2~3週間塗ると皮膚の症状やかゆみがなくなってきます。途中で治療を中断していませんか?途中でやめると菌が残ることになります。

 次に、角化型だと塗り薬がなかなか浸透しません。ですから、最低6カ月から1年以上は塗らなければいけません。このタイプは難治の例が多く、飲み薬が必要な場合もあります。

 爪みずむしの場合は、爪が白くなったり、厚くなったりします。このケースでは、爪が白癬菌の供給源となっていますので、飲み薬で爪みずむしから治療する必要があります。

 最後に、みずむしではない場合ですが、みずむしに似た病気として、慢性湿疹、接触皮膚炎(みずむしの塗り薬などによるかぶれ)、掌蹠膿疱(しょうせきのうほう)症、異汗性湿疹(あせもの一種)などがあります。皮膚科専門医を受診し、白癬菌の有無を顕微鏡で確認してもらい、適切な診断と治療を受けてください。

 また、靴の天日干しが有効かということですが、乾燥による効果は、多少期待できるかもしれませんが、紫外線による殺菌効果はあまり期待できません。自然光には殺菌効果のあるC波はないからです。

 ただ、感染源になりやすい風呂場の足ふきマットはよく洗濯してください。そして家族にみずむしの人がいた場合、家族全員を治すことが大事です。根気よく治療すればみずむしは必ず克服できます。

徳島新聞2010年7月18日号より転載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.