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【質問】 水泳で娘の目が充血・目やにも

 小学2年生の娘のことで相談します。学校の授業で水泳が始まってから、頭がズキズキすると言うようになりました。目やにがよく出るようになり、目が赤く充血して、少し腫れているような感じのときもあります。ゴーグルは着けて泳いでいると言いますが、ばい菌でも入ってしまったのでしょうか。目薬もさしているのですが、なかなかよくなりません。眼科で診てもらった方がいいのでしょうか。



【答え】 感染性結膜炎 -「細菌」濃厚 抗菌薬点眼を-

アイクリニック常三島 早渕 直子(徳島市中常三島町)

 今年の夏は暑いですね!毎年暑さが増すようです。外へ出たくない、とエアコンを効かせてゴロゴロしてしまいがちですが、こんな暑さの中でも元気いっぱいなのが子どもたち。みんなプールが大好きで、水泳の授業は特に楽しみのようです。

 一方、水泳の授業が始まると多くなるのが結膜炎や角膜炎です。相談の方もこのことを心配されているようですね。目やにがよく出て、赤く充血しており、まぶたが腫れているようにみえるなら、結膜炎になっている可能性があると思います。

 結膜炎は大きく分けて、ばい菌(細菌やウイルス)に感染して起こる感染性結膜炎と、アレルギーによって起こる非感染性結膜炎の2種類があります。アレルギーの場合はかゆみを強く訴えるので、相談者のお子さんの場合は、症状から判断すると感染性の結膜炎が考えられます。

 感染性結膜炎は、ばい菌の種類によってさらに3種類に分けられます。一つは黄色ブドウ球菌や肺炎球菌などが原因で起こる細菌性結膜炎。もう一つはアデノウイルスによる流行性角結膜炎。これは「はやり目」とか「プール熱」といわれる結膜炎で、学校やプールで感染することが多いです。症状は強烈で、激しい充血と多量の目やにや涙が出て、異物感があります。他の人にも感染していく可能性があり、注意を要する重症の結膜炎です。

 さらに、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスによる急性出血性結膜炎があります。症状は流行性角結膜炎よりはやや軽めで、白目に点状の出血班を起こすことが多いです。

 相談の方のお子さんは流行性角結膜炎や急性出血性結膜炎ほどの強い症状はないようですので、細菌性結膜炎が一番近いようです。この場合の治療は抗菌薬の点眼が基本になります。目やにが多い場合は顕微鏡で細胞を観察したり、培養検査を行ったりして、ばい菌の種類を調べます。治療すれば大体三、四日で治ります。

 お子さんが「頭がズキズキする」とおっしゃるとのことですが、黒目(角膜)に傷ができると、頭まではどうか分かりませんが、目はズキズキすることがあると思います。強い紫外線に長時間さらされることや、プールの消毒薬によって角膜炎を起こすことがあるからです。

 治療は抗菌剤や角膜保護剤を使います。こちらも治療すれば3~4日で治ります。角膜炎になると充血や目やにが出ることもあるので、結膜炎だけでなく角膜炎も起こしているのかもしれません。いずれにせよ、症状が長引くようなら一度眼科を受診することをお勧めします。

 水泳をするときは、できるだけゴーグルを着けるようにしましょう。自分が感染しないように、他人にもうつさないように、充血や目やにがあるときはプールに入らないようにしましょう。手は流水やせっけんでよく洗い、水泳をした日は十分休息をとるようにしましょう。

 まだまだ暑い夏は続きます。体調を整えながら乗り切りましょう。

徳島新聞2008年8月24日号より転載

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