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【質問】 足の裏の痛みが取れない

 69歳の男性です。右足の裏の痛みで悩んでいます。10年ほど前、狭い階段を上がろうとしたとき、曲がった踊り場でねじったのが原因かと思っています。何カ所かの病院に行きましたが、腱(けん)が傷んでいると湿布をくれるだけで、またすぐ痛くなってしまいます。自分でも靴の中の敷物を柔らかくするなど工夫していますが、痛みは取れません。テレビで足底腱膜炎という病気を見ましたが、症状が似ており、これではないかと思います。痛みを取る方法はないでしょうか。



【答え】 足底腱膜炎 -正しい中敷とストレッチを-

中洲八木病院 副院長 日浅 匡彦(徳島市中洲町1丁目)

 まず、足の土踏まずの構造について説明します。土踏まずは、他の動物にはない人間の特徴の一つです。図のように横アーチ(AB)、内側アーチ(AC)、外側縦アーチ(BC)の3方向があります。このアーチはバネの働きがあり、歩行時に体重移動を円滑にする大切な役割があります。

 このアーチを保つために必要なものの一つに足底腱膜があります。足底腱膜は、かかとから指に向かって扇状に広がっています。足底腱膜はアーチを保つための弓でいう弦で、起立時や歩行時に常に緊張がかかるため、微小損傷を受けやすくなります。スポーツによる過度のストレスや階段の角での打撲といった外傷でなる場合と、筋腱や骨と付着している部分の柔軟性が弱まることでなる場合があり、歩行時などに土踏まずに痛みが現れます。これを足底腱膜炎といいます。

 一般的な症状は、朝ベッドから降りたり長い間腰を下ろしていたりして、歩行を始めたときに強い痛みを感じ、その後、徐々に軽くなります。また、歩行することによって痛みが増す場合もあります。痛みの部分も2カ所あり、一つは土踏まずの中央部、もう一つはかかとです。

 時に、かかとの骨の前の部分にとげ状の骨がみられる踵骨棘(しょうこつきょく)ができることがあります。ただし踵骨棘は、足底腱膜炎が起こったことで形成されるもので、痛みの原因となることはまれです。よって、診断は足底部の圧痛が根拠となります。

 治療は、まず消炎鎮痛剤の飲み薬や張り薬などで痛みを抑えます。それでも軽減しない場合には、痛み止めの注射で局所ブロックをすることもあります。長期的には、足底腱膜に緊張を与えないようにインソール(中敷)を用いることがあります。

 運動が原因の場合には、運動量の調整を行うことがあります。そのほかにも、風呂上がりなどに足の指をそらせて、痛みのない範囲で土踏まずを伸ばし、症状を軽減させるストレッチ法などがあります。

 相談された人はさまざまな治療を受けられていますが、正しいインソールの作成とストレッチをされてはいかかでしょうか。

 ただし、足底腱膜炎の特異的な症状である朝起きて数分間激しい痛みがする場合とは別に、歩行時に痛みが持続または増す場合は、他にも疾患が考えられますので、整形外科専門医に相談してみてください。

徳島新聞2008年4月20日号より転載

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