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【質問】 黒目の内側に水ぶくれが

 50代の女性です。1年ほど前、両目の黒目の内側の方に水ぶくれのようなものができました。病院に行ったところ、翼状片と診断されました。5年くらい過ぎたら手術が必要といわれ、薬は充血したときに使うプロラーン点眼液をいただきました。予防や、これ以上進行させなくする薬はあるのでしょうか。また、手術はどのようにするのでしょうか。目が見えなくなったりするのでしょうか。もし手術をしなかったらどうなるのかも含めて教えてください。



【答え】 翼状片 -紫外線避けて様子みよう-

いのもと眼科内科 副院長 猪本 康代(板野郡北島町鯛浜)

 日常の外来で「睡眠不足や、日なたに長時間いたり、おふろに入ったりしたあとに黒目の内側が赤くなる」と言われて来院する人がたくさんいます。その多くは、角膜(黒目)近くの鼻側と耳側の白目部分が隆起する瞼裂斑(けんれつはん)や、隆起物が少し黒目に入る初期の翼状片です。

 翼状片は角膜内に結膜が三角形に侵入しているものです。では、なぜ翼状片ができるのでしょうか。はっきりしたメカニズムは分かりませんが、紫外線の当たる場所に長くいる人、ほこりの多いところで作業をする人に多いといわれています。そのため予防としては、紫外線をなるべく避け、ほこりの少ない所を選んで作業をした方がいいとされていますが、発生の仕組みがまだ分かっていないため予防薬はありません。従って治療は、手術で翼状片を切除するしかありません。

 いつ手術したらいいのかということですが、時期は重要です。翼状片は進行性のものが多く、徐々に角膜の中央部に伸びてきて瞳孔(黒目の真ん中のより黒い部分)を覆い、視力に障害を与えます。瞳孔をふさぐとまでいかなくても、乱視になって視力が落ちたりします。大きな翼状片になると、切除しても乱視が治らないことが多くなります。小さな翼状片や若い人の場合は切除すると再発率が高いといわれています。そのため手術の最適な時期は、50歳以上で、翼状片の先端が角膜の中心2ミリ領域にまで来る前の段階で切除するのがよいとされています。ただし、翼状片の先端は眼科医が角膜の内側や水晶体まで見ることができる細隙燈顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)で検査しないと分かりづらいので、自身での判断は避けた方がいいと思います。

 手術は、翼状片とその近くにある結膜を切除し、再発しないよう健康な結膜で切除した白目部分を覆う、という作業をします。

 ほとんどの場合は入院する必要はありませんが、何日か眼帯をして、1週間くらいで抜糸できます。抜糸するまでは異物感があり、涙や目やにがでたりすることがあります。再発は術後半年以内に起こることが多いので、なるべく術後は通院するようにしてください。

 ところで、翼状片の進行は非常にゆっくりなので、かかりつけの先生が言われたように、5年先に必ず手術しなければならないとは限りません。充血がひどかったり、重い感じや痛みなどがあったりしたときに診察を受ける必要はありますが、かかりつけの先生から手術を勧められるまで、紫外線とほこりを避けながら様子をみるとよいと思います。

徳島新聞2007年8月26日号より転載

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