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【質問】 白目の部分に赤い筋が

 14歳になる孫の白目の部分に赤い筋のようなものが何本も入っています。痛みなどはなく、眼科ではアレルギー結膜炎と診断されました。病院でもらった目薬を朝、昼、夕、夜と1日4回、半年間入れましたが、治りません。目薬もあまり入れると副作用があってはいけないと思い、やめています。眼科ではなく、別の診療科で診てもらった方がよいのでしょうか。



【答え】 アレルギー結膜炎 -点眼液での治療が基本-

三河眼科 三河 洋一(徳島市幸町3丁目)

 白目の部分にある赤い筋のようなものは、血管ではないかと思います。白目は強膜(眼球壁の5分の4を占める繊維性の膜)と、強膜の見えている部分を覆う結膜(半透明の粘膜)から構成されていて、ともに血管が走っています。

 血管の太さは人によって異なり、結膜炎にかかっている場合など目の状態によって目立つことがあります。赤い筋のように見えるのは、血管が太い場合に中の赤血球が透けて見えるためです。お孫さんの血管がもともと太い場合は心配いりません。

 病的に血管が拡張している場合、年齢などから考えて、長期に持続する原因として最も多いものはアレルギー結膜炎です。コンタクトレンズの装用者では長時間の使用や涙の減少による酸素欠乏のほか、コンタクトレンズ自体による刺激が原因となっているケースもあります。

 まれな疾患としては、新築の家に起こりやすい化学物質過敏症(最近は対策が施されていることが多く、軽症の傾向にある)があります。ぶどう膜炎と呼ばれる目の中の炎症からくる二次的なもの、静脈洞瘻(どうろう)と呼ばれる疾患に代表される動脈が静脈の一部と異常に結合する場合などもあります。

 ほとんどの疾患は眼科で治療しますが、静脈洞瘻については合併症である緑内障や眼底出血(目の中の出血)などを眼科で治療しながら、脳外科に紹介して確定診断を行うのが一般的です。直接診察をしていないので紙面で確定診断することはできませんから、主治医とよく相談してみてはいかがでしょうか。必要があれば適切な診療科を紹介してくれると思います。

 次に、今回診断されているアレルギー結膜炎について少し説明します。アレルギー疾患とは、花粉症に代表されるように本来は無害である抗原(花粉症の場合は花粉)と呼ばれる物質が粘膜などに付着した場合、その抗原を排除しようとして生体が過剰に反応する結果、自分自身の体(アレルギー結膜炎の場合は目)まで攻撃してしまうことによって起こる疾患です。

 アレルギー結膜炎はその結果として充血や目やに、かゆみ、黒目や白目の傷、涙の増加、白目や目の周囲のはれなどが起こる疾患です。症状の出方は個人差が大きく、充血の強い人もいればかゆみの強い人もいます。

 原因は、花粉以外に家の中のほこりやダニ、かびなどさまざまです。花粉一つをとってみても、スギなどの有名なもの以外に雑草の花粉などあらゆる花粉が原因になります。原因頻度の高いものについては、最近では採血して検査することで突き止めることも可能です。原因がはっきりしている場合は、できるだけ原因となる物質に触れないことです。

 眼科では点眼を中心とした治療が基本になります。点眼液には現在、主に三系統(症状がひどい場合は免疫抑制剤が使用でき、四系統)あります。ホルモン剤以外の二系統は副作用が極めて少なく、長期使用を考えた薬剤となっています。

 アレルギー疾患は長くつき合っていかなければいけない疾患です。現在使用している点眼液について不安な点は、主治医の先生に相談すれば解決するでしょう。

徳島新聞2007年4月22日号より転載

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