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【質問】 漢方薬が合わないのでは

 58歳の主婦です。冷え性と肩凝りがひどく、漢方薬や栄養剤を飲んでいます。体が温まるような漢方薬も飲んでいて、そのせいか太ももの外側が最近、朝から夕方まで3分ぐらいごとに温かくなって気持ち悪さを感じています。また、年を取るにつれて、ふくらはぎの後ろ側に青い血管が目立つようになりました。漢方薬の影響でしょうか。それともほかの病気でしょうか。



【答え】 冷え性と肩凝り -体質と症状の再確認が必要-

東洋病院 院長 清水 寛(徳島市北島田町1丁目)

 質問からは、服用した漢方薬の内容と症状の診断が不明ですので判断しかねます。そこで、冷え性とひどい肩凝りの漢方治療から考えてみましょう。

 漢方では、気、血、水(津液)が人体の基本的構成成分であり、内臓の生理機能や生命活動を維持しています。これらが過不足なく体内を循環している状態が健康状態であり、どれかが不足したり、停滞したり、過剰になったりしたときが病的状態とみます。

 気が不足した状態を気虚、気が停滞した状態を気滞(気(き)鬱(うつ))、血が不足した状態を血虚、血が停滞した状態をお血(けつ)、水(津液(しんえき))が不足した状態を陰虚、水が停滞した状態を水滞といいます。気血水の異常は単純ではなくお互いに影響しあって病状が表れます。

 また、漢方では全く同じような症状でも、病人の体質が異なると漢方薬も異なります。この体質を表す指標の一つとして虚証、中間証、実証、という分類の仕方があります。虚証は体質や体力の弱い人、実証は体質や体力が強い人、中間証はその中間の人。以上の基礎知識をもとに、冷え性でひどい肩凝りの人に用いる漢方薬を選んでみましょう。

 【当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)】この方剤(2種以上の生薬を混ぜてつくった漢方薬)は、虚証で血虚と水滞が病因の人に用います。方剤中の当帰、芍薬、川きゅう(せんきゅう)は貧血を補い、血行をよくし、白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ふくりょう)、沢瀉(たくしゃ)で、水分代謝を改善します。色白で貧血気味の虚弱体質で、腰や下肢が冷え、全身倦怠(けんたい)感、肩凝り、立ちくらみ、動悸(どうき)がある人、女性では生理痛、生理不順などを訴える人に使用します。腹力(腹部の弾力性)は軟弱で心下部に振水音(胃部をたたくと水の音が聞こえること)や動悸を認め、左下腹部に軽度の抵抗圧痛を認めれば、この方剤の適応となります。

 【桂枝茯苓丸(けいしふくりょうがん)】この方剤は、実証でお血の強い人に用います。方剤中の桃仁(とうにん)と牡丹皮(ぼたんひ)は桂枝の助けを借りて血塊(または腫瘤(しゅりゅう))を軟化消失し、血液循環を改善します。茯苓は水分代謝を調節し、消化機能を高めます。芍薬は筋肉の緊張を和らげ、鎮痛とともに、血行をよくします。この方剤は、実証で冷え、のぼせ、肩凝りが強く、赤ら顔で生理痛、生理不順がある人や、下肢の静脈が浮き出たり、膨れているような人に使用します。腹力はやや強く、へその周囲や左下腹部に抵抗圧痛を認めれば、この方剤の適応になります。

 このほかにも、冷え性で肩凝りの強い人によく用いる方剤は何種類もありますが、選び方が大切であることだけは理解していただけたのではないでしょうか。

 そこで、全くの私見ですが、適切な漢方診断により、処方された方剤であれば、漢方薬の影響ではないと判断します。症状は変化しますので、現在の体質と症状に適しているかどうか、再確認してみてはいかがでしょうか。「太ももの外側が朝から夕方まで3分くらいごとに温かくなって気持ちが悪い」「ふくらはぎの後ろ側に青い血管が目立つようになった」ことについては、婦人科と心臓血管外科で検査してもらうことをお勧めします。その結果、異常なければ、漢方専門医の出番だと思います。

徳島新聞2006年8月20日号より転載

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