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【質問】 胃が痛く胸がつかえる

 60歳前の女性です。3年前から胃の痛みとともに胸がつかえて、病院で胃炎といわれて薬を飲んでいました。しかし、治らないので今年1月に病院を変えて胃カメラの検査をしたところ、逆流性食道炎といわれました。薬を飲んでいますが、なかなかよくなりません。逆流しているときは少ししか食べられません。体重が2月と3月で2kg減り、4月にまた1kg減りました。今は34kgです。この病気はどのくらいで治るのですか。



【答え】 逆流性食道炎 -根気よく治療の継続を-

梶本胃腸科内科 梶本 宜史(吉野川市鴨島町鴨島)

 逆流性食道炎は中性である食道に酸性である胃液が逆流、停滞するために食道粘膜が損傷を受け、さまざまな症状をきたす病態です。自覚症状、食道粘膜傷害のいずれか、あるいは両方がある状態を「胃食道逆流症」といいます。逆流性食道炎は胃食道逆流症に包括される病態です。

 食生活の欧米化に伴い、20年ほど前から増加傾向にあります。中高年女性に多く、食道と胃の接合部の逆流防止機能の低下と腹圧の上昇が病状を悪化させます。

 口の中に酸っぱいもの、苦いものが込み上げ、胸焼け、みぞおちから前胸部の熱感を伴う不快感、つまり感、時には咽喉頭の違和感、狭心症のような胸痛、慢性的な咳などを認めることがあります。食後に起こりやすく、脂っこいものを食べた後、暴飲暴食後に起こりやすい特徴があり、体を横たえたり、前に曲げたりすることで悪化します。

 胃食道逆流症の治療は胃酸が食道内に停滞することを防ぐことに尽きます。生活習慣を改善することが望ましく、特に食習慣の改善が大切です。暴飲暴食、早食い、高脂肪食、甘味食、かんきつ類、酸味の強い食べ物の回避が必要です。

 胃液の逆流を起こしやすい生活習慣の回避も重要で、肥満、食後すぐの臥床(がしょう)、前屈位、腹圧のかかる動作環境(重いものを持ち上げる、ガードル着用など)の回避、また就寝時に上半身を少し上げる(布団の下に座布団を入れるなど)ことで逆流による症状を軽減できます。

 薬物療法は酸分泌抑制剤を使用します。治療効果が期待できる薬剤が多数ありますが、その中でもプロトンポンプ阻害剤による治療が最も効果的です。ほとんどの例で症状の軽減、消失が期待できます。しかし、これらの治療を行っても、胃液の逆流防止機能の低下自体は治ることはありません。根気よく継続的な治療を行う必要があります。

 さて、今回のご相談では、内視鏡検査で逆流性食道炎と診断され、プロトンポンプ阻害剤を含む薬剤による治療が行われています。内視鏡検査時には下部食道にびらん、潰瘍(かいよう)があったものと考えられます。粘膜傷害と症状は必ずしも相関しません。しかし、さまざまな治療を受けているにもかかわらず難治性であることより、胃酸が長い時間食道に停滞していることが推測されます。

 これにはさまざまな要因の関与が考えられます。脊椎の湾曲、食道裂孔ヘルニア(胃が胸腔内に引っ張り上げられている状態)などの身体的要因があると重症化しやすくなります。

 ご質問の文面からはこのような身体的要因の有無は不明ですが、暴飲暴食など食生活習慣の問題はないように思います。いずれにしても、通常は現在行われている治療で改善しなければなりません。しかし十分な治療効果が得られず、大変不快な思いをされているようです。

 このような場合には、夜間に抑制されているはずの胃酸が分泌されてしまう特殊な病態や、薬剤の代謝酵素に関連した病態の関与を考えなければなりません。詳細は省略させていただきますが、薬剤の変更や、服用方法の工夫が効果的な場合があります。

 専門医と相談の上、根気よく治療を継続すること、他疾患の有無を含め定期的な精密検査を受けることをお勧めします。

徳島新聞2006年5月28日号より転載

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