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【質問】 やけどの治療にラップ?

 幼稚園の孫が太ももにやけどをしたので、皮膚科を受診しました。医師には、よく洗って食品用ラップをかぶせておくように言われました。風呂に入るときにラップを取り換え、途中2回受診し、1週間で良くなりました。私が思っている今までのやけどの治療とはかなり違いました。やけどに対する「ラップ療法」について教えてください。



【答え】 ラップ療法 -経過は必ず医師に見せて-

高橋皮膚科クリニック 高橋 収(吉野川市鴨島町)

 「ラップ療法」とは床ずれの治療で、ガーゼの代わりに食品用ラップを使用したのがポイントの治療法です。

 内科医の鳥谷部俊一さんが、その有効性を提唱し、形成外科医の夏井睦さんらが「消毒」「創傷治療」の話題を加え、その普及に努力しています。鳥谷部さんは「開放性ウエットドレッシング療法」に名称変更しようとしていますが、覚えやすい「ラップ療法」がだんだんと広まっています。

 やり方は<1>創(そう)を水道水でよく洗い、消毒はしない<2>ラップで傷をじかに覆うだけで、基本的には軟膏(なんこう)などは塗らない-という簡単なものです。

 現在、外来が中心の私は床ずれに対して、この治療の経験はありません。床ずれの経過は患者さんの全身状態に大きく左右されるため、この治療ですべて治癒するわけではありませんが▽処置が簡単▽経済的に優れている(高価な治療材料が必要ない)▽創に対する治療効果がいい-など、従来の床ずれの治療法よりも利点が多いと思われます。

 やけどに対しての「ラップ療法」は、やけどの程度を的確に判断すればかなり有効な治療法であると考えています。やけどの重症度は、受傷面積と深さから判断します。受傷面積が約10%以上(片腕全体ぐらい)のもの、顔(特に気道熱傷の恐れがあるとき)のやけどは、救急で総合病院を受診してください。重症熱傷は命にかかわります。

 実際の重傷度は深さとも関係しますが、一般の人が初期に深さを判断するのは困難なことが多く、受傷面積が約10%以下で救急受診をするほどではないと判断したときに、家庭での治療になります。

 まず、水道水でぬらしたタオルで絞って、患部に当てて冷やします。冷たさがなくなれば、絞り直してください。冷やしている間は痛みを忘れるはずですが、中断しても痛みを感じなくなるまで続けることが理想です。初期の冷却が傷の治りに大きく影響するので、数時間かかっても頑張ってください。

 痛みがなくなれば、「ラップ療法」の出番です。食品用ラップで受傷面を覆い、テープで留めてください。何も塗らず、消毒もしないでください。水疱(すいほう)は破らないようにします。しかし、すでに破れている部位からの浸出液が多い場合は、ラップの上にガーゼなどを巻いてください。その後、1~2日の間に皮膚科医を受診してください。

 やけどは深さで3つに区分されますが、第二度熱傷(症状が水疱もしくはびらん)で1~2週間で治るものなのか、第三度熱傷(白もしくは黒く焼けている)で手術が必要なのか、を決定する必要があります。経過中症例によっては細菌感染のために内服薬を必要とする場合や、創面の乾燥に対して白色ワセリンを外用する場合もあります。

 処置が「ラップ療法」で家庭でできると思っても、必ず経過は医師に見せてください。ときにラップにかぶれたり、カビの感染を起こしたりすることもあるからです。

 従来のやけどの治療では、医師から「毎日、消毒に来てください」といわれたと思います。現在は研究の結果、「急性一般創傷に消毒は不要」という考えが確立されてきています。まさしく第二度熱傷がそれで、新しい傷には有害な菌の増殖は起こっていないのです。そして生体の働きとして、浸出液が菌をやっつけ、傷を治そうとするのです。消毒はそれを妨げ、また創面をガーゼで覆うと、それをはがすときにせっかく治ってきている皮膚もはがしてしまうのです。

 私も数年前から、やけどには超酸性水(水道水を電気分解したもの)を使っていますが、消毒時の痛みはなく、治りが悪くなったとは感じられません。また外用剤も、第二度熱傷なら、必要により白色ワセリンで十分だと思います。医師の観察下に行えば、やけどに対して「ラップ療法」は、非常に有効な治療法と考えます。

徳島新聞2005年10月30日号より転載

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