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【質問】 20年以上鼻づまりに悩む

 40代の女性です。20年以上も前からアレルギー性鼻炎による鼻づまりに悩んでいます。いくつか耳鼻科に通いましたが改善しませんでした。15年前にレーザー治療を受けたのですが、効果はありません。それ以降は病院に行かず、市販の点鼻薬を使用しています。点鼻薬の使い過ぎはいけないと分かっているものの、あまりの苦しさでトータル20年近く使っていると思います。点鼻薬を使い過ぎると「点鼻薬アレルギーになって、治りにくくなる」と聞きましたが、現在の私はきっとその状態と思います。これから先、このままの状態が続くと思うとつらいです。点鼻薬アレルギーの治療法を教えてください。



【答え】 アレルギー性鼻炎の点鼻療法 -強い症状にはステロイド薬有効-

あおぞら耳鼻科 平賀 智(鳴門市大津町吉永)

 市販されている点鼻薬は鼻づまりによく効きますが、使い過ぎるとさまざまな問題が出てきます。

 「現在、使っている点鼻薬をすぐにやめなさい」とはいいませんが、1回の使用量と使用回数を減らしてみてください。その代わりに専門医を受診し、抗アレルギー薬、またはステロイドの点鼻薬を使用してみてください。

 これらは1日の使用回数が決まっているので、必ず守ってください。1日2回、もしくは4回のものが多いです。

 症状の強い人には、ステロイドの点鼻薬を薦めます。「ステロイド」の副作用を心配する人も多いようですが、アレルギー性鼻炎に使用するステロイドの点鼻薬は全身的な副作用が全くないとはいえませんが、大変少ないものです。

 また、ステロイドは一般的に高血圧や糖尿病の人には使えませんが、アレルギー性鼻炎に使用するステロイドの点鼻薬は注意しながら使用すれば大丈夫です。中には高血圧、糖尿病があっても普通に使用できるステロイド点鼻薬もあります。

 効果は、点鼻してすぐに表れるわけではありません。症状の強い人は、効果が出るまでに少なくとも1週間はかかります。場合によっては2週間以上かかることもあります。症状がなかなか改善しないときは、アレルギーを抑える抗アレルギー薬を内服することも考えましょう。内服薬は一般に眠気の強いものがよく効きますが、眠気の出ない薬も少なからずあります。

 前述のような治療をして少しでも鼻づまりがよくなれば、市販の点鼻薬の使用量と使用回数を減らしてみましょう。1日に市販の点鼻薬の回数を3~4回程度まで減らせたら、しめたものです。同時に1回に噴霧する量も少なくしてみてください。

 最終的に市販の点鼻薬が夜間のみとか、1日1~2回程度の使用になったら、市販のものを手放すことも可能でしょう。繰り返しになりますが、市販の点鼻薬を使ってはいけないということではありません。適切な使用量、使用回数にすることが大切です。

 また、ステロイドの点鼻薬にしても鼻の中に細菌の感染があるときや、頻繁に鼻血が出るような場合には一時中止したり、抗生物質の投与などが必要だったりすることもあるので、必ず専門医の指導のもとで使用してください。

 以上のような治療を行っても、アレルギー性鼻炎の症状が改善しないときには注射による減感作療法、ワクチン療法などがあります。また、レーザー照射以外の手術療法もあるので、専門医とよく相談して治療法を選択してください。

徳島新聞2005年10月9日号より転載

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