徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

【質問】 26歳からのにきびに悩み

 26歳の女性です。半年ほど前から、にきびで悩んでいます。にきびは中学生や高校生のころにできるものですが、私は大人になって初めてできました。毎日、洗顔クリームなどで洗っていますが、良くなりません。跡が残る心配もしています。原因は何でしょうか。生活習慣に問題があるのでしょうか。このまま洗顔を続ければ、良くなるんでしょうか。化粧もしていますが、使わない方がいいものがありましたら教えてください。



【答え】 尋常性ざ瘡 -油性の化粧品は早く落とす-

健康保険鳴門病院 皮膚科 長江 哲夫

 俗にいう「にきび」は、医学的には「尋常性ざ瘡(そう)」と呼ばれています。にきびの発生には、いろいろな要因がありますが<1>皮脂分泌の増加<2>毛包開口部(毛穴の出口)に形成する面皰(めんぽう)(毛包内の角質と皮脂による固まり)<3>プロピオニバクテリウムアクネス(ニキビ菌)などの細菌の増殖により引き起こされる炎症-などが関与しているといわれています。

 皮脂を分泌する脂腺の発達や皮脂の生成には、男女ともに副腎皮質から出される男性ホルモンが関与しています。

 男性ホルモンは思春期以降の男性では、睾丸(こうがん)からも多量に分泌されます。面皰が形成されると、毛包内に常在して酸素の少ない状態を好むニキビ菌は、皮脂を栄養源に増殖し、炎症を引き起こします。さらにニキビ菌は皮脂の中性脂肪から遊離脂肪酸を生成し、角質を厚くする因子の一つになります。

 にきびは、一般に女性では17~21歳がピークで、9割以上は25歳までにほとんど消失するといわれています。しかし、女性における男性ホルモンの値は、10~20歳のピークと20代後半の小さなピークがあり、思春期以降のにきびの原因になっているという報告もあります。また、にきびには遺伝的な因子も重要であり、思春期を過ぎても治りにくい人は家族にも同じような症状が出ることが多いようです。

 質問の女性のように、思春期にはなかったのに20歳を過ぎてから、ほおから下顎(あご)にかけてでき、受診する患者さんが少なからずいます。その原因の一つは、化粧かもしれません。油性の化粧品を使用すると毛穴がふさがって、ニキビ菌が増殖します。化粧は、帰宅したら直ちに洗い落とすようにしましょう。

 また、手でニキビに触れたり、毛髪の先端が皮膚を刺激したりするために悪化しているのかもしれません。ヘアスタイルにも気をつけてください。食事は、油物や油脂を多く含んだ食品を控え、牛乳も大量に飲むのであれば低脂肪のものを選びましょう。砂糖や炭水化物は脂腺で中性脂肪を生成する材料として利用されるので、気をつけましょう。アルコールも制限したほうがいいでしょう。また、睡眠不足、ストレスも因果関係ははっきりしませんが、悪化因子となります。

 治療は面皰だけであれば、顔を洗ったり、面皰を押し出して取り除いたり、角質溶解作用や脱脂作用のあるイオウ剤を外用したりします。盛り上がったり膿(うみ)がたまったものでは、テトラサイクリン系抗生物質がよく使用されます。

 これはニキビ菌の殺菌、ニキビ菌の持つリパーゼ活性の抑制、白血球遊走因子活性の抑制という作用があります。また、ビタミンB2、B6の内服も皮脂分泌を抑制すると考えられています。

 質問にあるように、跡を残さないようにするためには早めの治療が必要です。以上に述べた、にきびを悪化させる生活習慣を中止してもよくならないようなら、早めに皮膚科を受診してみてください。

徳島新聞2005年2月13日号より転載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.