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【質問】 車を運転後に膝が痛む

 46歳の男性です。長距離通勤のため、片道1時間以上、自動車を運転しています。その間、あまり膝(ひざ)を動かさないためか、車から降りると、膝に痛みが走ります。歩けないほどではないのですが、何時間かは痛みがひきません。身長172センチ、体重69キロと中肉中背です。コレステロールや中性脂肪は高めです。ずっと痛むということはないのですが、運転後は、膝に痛みを感じる頻度が高いです。何か膝が痛くならなくなる予防法はありませんか。ちなみに体が硬く、あぐらや正座をするのも苦手です。



【答え】 変形性膝関節症 -大腿四頭筋を強化し予防-

新野医院 新野 浩史(板野郡板野町下庄)

 おそらくは変形性膝関節症による痛みと考えられます。今回は、変形性膝関節症の予防をどのようにすればよいか述べたいと思います。

 変形性膝関節症の原因は、老化(年齢、遺伝など)やストレス(肥満、重労働、外傷など)といわれています。そしてさまざまな原因により関節軟骨が損傷を受けて、関節内に炎症が起こり、痛みが出てきます。そのために関節の動きが制限されて、大腿四頭筋(ふとももの筋肉)の萎縮(いしゅく)が起こります。

 その結果、膝を支える力が弱くなり関節が不安定となります。進行すると変形が進み、膝が伸びにくい状態となります。そして膝の痛みがさらに強くなると、最終的には日常生活が困難となります。

 相談者の膝関節の痛みは、以上のことから考えると、初期段階と思われます。そのため、これ以上進まないようにすることが大切です。

 まず▽日常生活で正座をできるだけ避け、太らないようにする▽車から降りるときに膝を動かして痛みをとってから降りるようにする-のがよいかと思います。予防法としては、痛みが続けば、筋肉がやせてきますので、大腿四頭筋の筋力をつけることが重要となります。また逆に筋力をつけることで痛みも軽減してきます。


 方法には、足上げ体操(図)があります。あおむけに寝て膝を伸ばしたまま、床から10センチ上げて5~10秒数え、降ろします。これを20回繰り返し、1日2回行ってください。両脚交互に行い、腰痛予防のために反対側の脚は曲げておきます。

 また、大腿四頭筋の筋力が落ちてくると、膝が曲がったような状態となり、伸びにくくなります。これを防ぐためには、膝の裏側の筋肉を伸ばすようにストレッチを行ってください。入浴時には血行がよくなっており、筋肉の緩みも得られやすいので効果的だと思います。

 最後に、歩行運動は、生活習慣病のある方には、非常に有効かと思います。しかし、歩くことにより、膝関節には負担になりますので、長時間の運動は勧められません。できれば体重負荷の少ない水中(プール)での運動が適していると思います。

 今まで述べた筋力訓練などの予防法は、2~3カ月継続することで初めて効果が出てきます。また、必ず近くの整形外科を受診し、変形性膝関節症の診断を受けた上で行ってください。なお痛みが強いときは、薬物治療と併用した場合が有効なこともあります。

徳島新聞2004年8月8日号より転載

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