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【質問】 ピロリ菌保有 胃荒れ

 70歳の主婦です。胃の内視鏡を1年に一度受けています。ポリープのため、今年3月に受けたところ、胃が荒れていると言われ、組織検査をしました。MALTリンパ腫から消化管表面の腺腫へ移行し、ピロリ菌を除去すれば80%は消えると言われました。胃と腸のレントゲン、胃と腸の内視鏡、CT、胸のレントゲン、マルク、MRIの各検査を受けました。そしてピロリ菌を除去するため、3種類の薬を1週間飲みました。今は時々、体がだるくなります。病気は完治するのでしょうか。どんな治療をするのでしょうか。



【答え】 胃MALTリンパ腫 -除菌以外に放射線療法も-

徳島県立中央病院 消化器科 矢野 充保

 質問では、胃MALTリンパ腫と診断されて治療を受けているようですので、まずこの病気について説明します。

 胃MALTリンパ腫は、胃の粘膜に後天性にできたリンパ組織(MALT)から発生してくる腫瘍(しゅよう)です。その組織の状態から比較的悪性度の低いリンパ腫をさします。

 胃MALTリンパ腫は、不整なびらん(ただれ・強い荒れ)、潰瘍(かいよう)性病変、隆起性病変などさまざまな形態をとり、そのほとんどが内視鏡検査で発見され、組織的に診断されますが、組織が炎症に近いことから、ときに診断が困難とされています。

 この病気にはヘリコバクター・ピロリ菌(HP菌)が深くかかわっていることが分かっています。HP菌により胃粘膜が慢性的な刺激を受け、慢性胃炎の状態となります。胃荒れの多くはこれをさします。ほとんどの人は慢性胃炎の状態で終わりますが、ごくまれにMALTリンパ腫をきたす場合があるのです。

 しかし、腫瘍でありながら、HP菌の除菌により70-80%くらいが改善あるいは消失することが報告され、現在は最初に施す治療となっています。

 病状の正確な診断のために、さらに超音波内視鏡検査や大腸など消化管検査、CT検査、ガリウムシンチ、骨髄検査(マルク)などが行われ、治療方針を検討します。

 MALTリンパ腫の治療法は、その広がり方や程度によって異なります。

 胃のみに局在する場合は、HP菌除菌が一般的です。ただし、除菌したにもかかわらず、内視鏡で改善が認められない場合や、内視鏡や組織の形態から除菌のみでは治療困難な場合もあり、このような例では、これまで外科手術が中心でしたが、最近では放射線療法などの非外科的治療が検討されています。

 胃以外にもまれに病変がみられることがあり、このような場合は、化学療法が主な治療法となります。近年モノクロナール抗体療法が成績良好と報告されつつあるなど、現在まだ定まっていないのが実情です。

 質問にある腺腫については、胃MALTリンパ腫との直接的な関連はまだ証明されていませんが、合併している可能性はあります。また症状についても、関連は乏しいと思われますが、その病状の程度にも関係しますので、担当の先生とよく相談するのがよいと思います。

 胃MALTリンパ腫については、おおむね良好な経過をとるとされています。しかし、治療抵抗例や再発例もありますので、内視鏡検査をはじめ定期検査をすることが不可欠です。

徳島新聞2003年12月7日号より転載

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