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【質問】 胆石症の手術にはどんなものが

 54歳の男性です。今年の初めごろから脂っこいものを食べると時々胃から背中に抜けるような痛みがあります。医者にみてもらったところ、1センチぐらいの胆(たん)石があると言われました。痛みがなければ無症候性結石なので心配はないが、痛みが続いたり、肝機能が悪くなったりするようだと手術の必要があるそうです。私は自営業で、長い入院はできません。聞くところによれば、おなかを切らなくても胆石の手術ができるそうですが本当でしょうか。どんな手術で何日ぐらいの入院で済むのか、また私の場合は可能なのかお教え下さい。



【答え】 腹腔鏡下手術 -痛み少なく回復も早い-

麻植協同病院 診療部長 斉藤 恒雄

 主な症状が「脂っこいものを食べたときに、胃から背中にかけて痛みが走る」とのことで、医師から胆石症との診断を受けておられます。黄だんや発熱がみられないようですので、胆嚢(のう)炎のない胆嚢結石症と思われます。そこで、胆嚢結石症の外科治療、特に腹腔(くう)鏡下での胆嚢摘出術についてお話します。

 胆嚢結石症はごくポピュラーな病気です。超音波(エコー)診断が簡単にできなかった時代、特に腹痛を伴わない無症候性結石などは見過ごされ、結石を抱えたまま一生を送った人もずいぶん多かったようです。

 ところが近年、超音波をはじめ、さまざまな画像診断技術が向上し、胆嚢結石の診断は容易になってきました。同時に、1990年から日本でも腹腔鏡下での摘出術が行われるようになったことで、手術法も患者さんの状況に応じて選択できるようになりました。

 手術器具の改良や医師の技量の向上により、この手術はすっかり定着し、今では全国各地の医療施設で頻繁に行われています。当院でも91年、県内初の摘出術を行って以来、これまでに400例前後に上っています。

 さて、腹腔鏡下胆嚢摘出術とは、どのような患者さんに行われるのでしょうか。対象となる病気に、あなたのような胆嚢結石症(炎症がみられる急性期は除く)、胆嚢ポリープ、胆嚢腺(せん)筋腫(しゅ)症などが挙げられます。

 最近では、造影剤を使った胆管のCT、MRI画像診断、内視鏡による胆管造影などの検査を行い、胆嚢炎を併発している人でも、積極的に腹腔鏡下手術をすることが多いようです。

 それでは実際の手術法について述べます。

 外来で全身麻酔の検査を行って、手術日の前日に入院します。全身麻酔を施した後、炭酸ガスでおなかを膨らましてから、〈図〉のように腹部を4カ所ほど小さく切開し、トロッカーと呼ばれる器具を腹腔内に挿入します。テレビモニターを見ながら、さまざまな手術器具を駆使して胆嚢を摘出します。

 術後の胆汁漏れを用心するため、細いドレーン(管)を切り口から肝床部に挿入して、手術は終了です。この管は胆汁漏れがないことを確認して、術後に抜き取ります。手術は早い人で半時間以内で済みます。3日程度で退院できる病院もあるようですが、当院では抜糸して7日目ごろに退院してもらうようにしています。

 この手術のメリットは、術後の疼(とう)痛が少なく、回復が早いことです。胆汁漏れや肝床部からの出血、おなかに炭酸ガスが入ることによるトラブルなどの合併症がありますが、手術の技術が確立していますので、ごくまれとなっています。

 最後に手術費用ですが、保険適用があるので、2割負担で10万円前後と思ってください。

徳島新聞2000年7月9日号より転載

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