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【質問】 両目がべとつき痛みも

 56歳の主婦です。昨年3月から左目の鼻側の先の涙腺(せん)のところがべとつき、慢性結膜炎とのことで、目薬を入れてもすぐに目やにがつきます。12月からは両目の結膜のところに涙がたまるようになりました。結膜炎だけでなく、ドライアイもあるということで、人工涙液を入れているのですが、結膜がうずくような痛みがあります。しかし、別の病院ではドライアイではないという診断もあります。今は両目がべとつき、じっと物を見ることもできません。目薬を入れても効果がなく、やはり結膜がうずくような痛みがあります。どうしてべとつき、結膜のところに涙がたまるのでしょうか。べとつきを取るのに、まぶたの上(眼球)を押えて、目を痛めたりしませんか。何か良い治療方法はないでしょうか。



【答え】 目の不定愁訴 -神経的・精神的要素も-

浜医院 眼科医師 浜 博 (三好郡池田町マチ)

 文面だけで納得してもらえないかもしれません、診察をしてみなければ、はっきりとしたお答えができないかと思います。

 まず、涙腺とは、涙を出す泉で、両上まぶたの外側の上方の皮下にあり、肉眼では見えません。涙腺から出された涙は、眼球の表面を潤して、涙道(涙が流れる道筋)を経て鼻の中を通り、口の中に出てきます。泣いた時に鼻がつんつん鳴るのは、このような仕組みになっているからです。

 眼球の表面(角膜と結膜)は、ここは常に涙で潤っていて渇くことはありません。渇くと角膜が傷ついて目がみえなくなってしまいます。表面がいくら潤っていても、べとつくとか、涙がたまるというようなことは自覚しないのが通常です。ただ、泣きもしないのに、涙が流れる場合がありますが、これは涙道の通過障害があるからで、治療をすれば、簡単に治ります。

 高齢者には、通過障害がないのに涙が流れると訴える人をしばしば見かけますが、このような場合、根本的治療法はありません。放置してもいいでしょう。

 結膜炎とか、ドライアイを大変気にしておられるようです。まず、結膜炎の症状を申しますと、全く無症状の場合もありますが、一般的には、目やにが出たり、涙が出たり、充血したり、あるいは目がだるくなったり、と多様な訴えがあります。結膜炎にはいろいろな種類があり、最近、特に多いのがアレルギー性結膜炎で、かゆみが強いのが特徴です。この疾患は季節的に多発します。

 いろいろな症状を申しましたが、普通は、結膜炎で結膜がうずくことはありません。眼球全体が痛むのに、よくあなたのような訴えで受診される人もいますので、一度精密検査を受けられてはいかがでしょう。

 また、ドライアイについては、眼疾患が原因のときもありますが、生理的にも高齢になるにつれて、涙の量が減ってきます。目が渇くと訴える人もよくあります。特に、冬季や風が吹くときに多いようです。

 職業や心身の状況にもよりますが、眼精疲労といって、不定の症状を種々訴える症候群もあります。それ自体、心配はいりませんが、全体を通じていえることは、神経的・精神的要素があなたの訴えの背景にあるようにも思われます。

 あれこれと思い悩まずに、気分転換を図るのも一つの方法かと思います。現在、医師にかかっていればその医師に、かかっていなければ専門医にかかって、よく相談して指導を受け、その医師を信じて対処してくださることをお勧めします。

 なお、目薬は自己判断でお使いにならないようにしてください。薬と名のつくものは、もろ刃の剣であることをいつも念頭においていてください。

徳島新聞1999年6月6日号より転載

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