【質問】のどにかさかさした違和感
50代前半の女性です。半年ほど前、のどに違和感を覚えて耳鼻科を受診したところ、奥の方に「臭い玉」と呼ばれるものがあるとのことで、除去してもらいました。しかし、その後ものどの奥に毛糸の端切れでも詰まっているような、かさかさした感じが取れません。内視鏡では、今のところ臭い玉も腫瘍もないそうです。考えられる原因はありますか。
あおぞら耳鼻科 平賀智先生
【回答】腫瘍ないのなら安心を
のどは細菌やウイルスが入ってくるところなので、それを防ぐ働きがあります。主に扁桃腺(へんとうせん)という組織がその役目をします。細菌やウイルスなどが処理されて、残りかすが扁桃腺に白い塊として付着することがあります。
時に臭うこともありますが、痛み、発熱などがなければそれ自体は害のあるものではないので、特に治療の必要はありません。ただ不快に感じれば除去することも必要でしょう。
最も重要なことは腫瘍、特に悪性腫瘍の有無です。お尋ねの方は腫瘍はないということですので、まずは安心でしょう。喉頭がん、咽頭がんが最も多い疾患です。喉頭がんに関してはよほど進行しているものでなければ大体治ります。手術をすると声が出なくなったり、出にくくなったりするので、できるだけ声を保存した形で治癒させることが目標となっています。
咽頭がんに関しては、周囲の臓器に密接に関連しており、また転移する頻度が低くなく、周りの組織との関係で手術も喉頭ほど容易ではないため、治る確率は喉頭がんより低くなります。のどの中だけでなく、甲状腺の病気、その他頚部(けいぶ)の腫瘍など、外から押されて喉の異常感が起きることもあります。
風邪の時などにのどの異常感を経験することはほとんどの人にみられることですが、風邪がよくなっても異常感が続くことが時々みられます。強い炎症が消失した後にごく軽度の炎症が持続して、場合によっては慢性化することがあります。また花粉やほこりの刺激またはアレルギーによっても症状が出ます。炎症が軽いといっても治療が容易というわけではありません。治療に抵抗して症状が長く続くことがしばしばあります。
その他の原因としては、胃酸が逆流してのどを痛めることがあります。げっぷがよく出たり胸焼けがあったりすることが多いといわれていますが、胃や食道の症状がない場合もあります。症状が強い場合はのどが痛んだり声がかすれたりしますが、軽い場合には異物感のみのことがあります。また頚椎の異常でのどの症状が出ることもあります。のどの後ろの壁は頚椎に接しており、頚椎や椎間板の異常によりのどが後方から圧迫されることがあるからです。
いろいろ原因はありますが、中には全く原因らしいものが見当たらないことも少なくありません。そういう場合には、耳鼻咽喉科では苦痛も少なく比較的簡単にのどの奥の写真が撮れますので、重大な病気がないことを自分で見て確かめて安心することにより、症状が軽減することもあると思います。