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徳島県小児科医会 日浦恭一

 子どもの成長には栄養の摂取が不可欠です。適切な栄養の摂取には量も質も大切ですが、その取り方が大切です。食事をとることは誰でもできますが、正しい食事のとり方は成長の過程で形成されるものですから、子どもの時に身についた偏食などの食事の習慣は大人になってもなかなか治らないものです。

 食事の取り方は成長にともなって発達します。新生児の食事は哺乳です。これは主として哺乳反射と呼ばれる原始反射を中心に行われる運動です。新生児が母乳やミルクを上手に飲むのは、口唇で乳首を探す、乳首を捉える、乳首を吸う、このような一連の動きが反射的に行われるからです。

 哺乳反射は口に入れたものを何でも飲み込むものですから、様々な物を口に入れるようになると、何でも反射的に飲み込むことは危険をともなうようになります。そこで次第に哺乳反射は消え、口に入れた物の味や硬さなどの性質を確認してから飲み込むようになるのです。食物の性質によってどのくらいの力で噛めば飲み込みやすくなるのかが分かるようになります。

 この時期が離乳食の時期で、自分の口に入れた食物の性質や量に合わせて口を動かす運動を調節することを覚えます。次第に固形物を口にすることで食べるという運動機能を獲得します。その能力に応じた適切な硬さの食物を与えることで離乳食が進みます。

徳島新聞2010年3月10日掲載

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