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徳島県小児科医会 日浦恭一

 口唇やその周囲に小さな水疱ができることがあります。これは単純ヘルペスです。乳幼児には少ないものですが、大人や年長児ではくり返して現れることがあります。

 ヘルペスウィルスには単純ヘルペスの他に水痘・帯状疱疹ウィルス、サイトメガロウィルス、EBウィルス、HHV6型ウィルス、HHV7型ウィルスがあります。

 単純ヘルペスには顔と上半身に出現する1型と、腰から下および性器に発生する2型ヘルペスとが知られています。

 単純ヘルペスの大部分は皮膚や粘膜に水疱を示すだけですが、新生児ヘルペスやヘルペス脳炎などは生命に関わるとともに、神経系の後遺症が問題になる重篤な疾患です。

 単純ヘルペスが感染すると皮膚粘膜でウィルスが増殖して水疱を形成します。ふつう生後6か月から3歳くらいの乳幼児が初めて感染した場合に、歯肉口内炎となります。多くは発熱をともない、口腔粘膜や舌、歯肉、頬粘膜などに水疱、発赤、潰瘍を多数発生します。疼痛が激しいために哺乳や経口摂取ができなくなり、高熱をともなうこともあって脱水症や栄養不良を起こすこともあります。

 ヘルペスによる歯肉口内炎には抗ウィルス剤の投与が有効です。単純ヘルペス感染症は珍しいものではありませんが、乳幼児にとっては大変重要な意味を持った病気です。

徳島新聞2010年2月10日掲載

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