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 子どもの腹痛は訴えがはっきりしないために診断に苦慮することがあります。また子どもの腹痛の原因疾患は年齢によって大きく異なりますから、診断に当たっては年齢を考慮する必要があります。

 乳幼児の腹痛の原因として大切なものに腸重積があります。腸重積は口側の腸管が肛門側の腸管に入り込むことによって発生する腸閉塞です。

 腸管が入り込んだ重積部分は血流が悪くなり、腸管浮腫をきたします。さらに重積が長時間続くと虚血のために腸管壊死に陥り、穿孔することがあります。

 腸重積は生後数ヶ月から2、3歳の乳幼児に多く見られます。腸重積の原因はわからないものが大部分ですが、アデノウィルスやロタウィルスなどの感染症が先行するもの、腸管ポリープ、メッケル憩室、消化管出血による血腫、血管性紫斑病などの器質的な異常が存在することもあります。

 症状としては激しい腹痛に嘔吐、血便、重積部分が腫瘤として触れることなどです。乳幼児では腹痛の訴えがはっきりせず、ただに不機嫌なだけの場合やぐったりしているだけの場合もあります。

 腸重積にこれらの典型的な症状がすべてそろっているわけではありません。浣腸しても始めははっきりしないこともあります。時間経過とともにイチゴゼリー状の粘血便が認められ、診断が明らかになることもあります。

 診断確定のためには症状に加えてエコーやX線検査などの画像診断が必要です。

 治療には肛門から空気や造影剤を注入して圧力をかけて、重積部分を整復します。しかし発病後、長時間たっていて穿孔する危険性があるものや、腸閉塞によってショックを起こしているもの、基礎疾患があるものなどは外科的な治療を念頭に置いて治療を開始します。

2008年11月26日掲載

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