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県民の皆さまへ

 抗菌剤の発達によって細菌感染症に対する治療は飛躍的に発展しました。その結果、乳幼児の肺炎などによる死亡率を著しく低下させることができました。抗菌剤が手軽に使用できるようになったのは社会的に安定し、経済的に豊かになったおかげです。

 しかし抗菌剤が日常的に使用できるようになった反面、抗菌剤の副作用も問題になってきました。

 今月は子どもの感染症の治療に欠かすことのできない抗菌剤についてお話します。

 抗菌剤の開発はペニシリンに始まり、セフェムやマクロライドと呼ばれるものが小児科で多く使用されています。

 セフェムはペニシリンと同じような構造を持つβ―ラクタム系の抗菌剤と言われ、ペニシリン耐性菌に有効な薬剤で、より広範囲の細菌に有効であり、ペニシリンの副作用を少なくするために開発されたものです。内服薬では服用しやすく、子どもには広く使用されています。

 マクロライドは百日咳やマイコプラズマ、クラミジアなどペニシリンやセフェムでは効果がないか効果が少ない細菌に有効で、呼吸器系の感染症に多く使用されています。

 抗菌剤は細菌に対して有効な薬剤ですから、小児でもっとも多いウイルス感染症には効果がありません。熱が高いからとか、のどが赤いから念のためになどと、抗菌剤を投与しても効果はありません。エンテロ、アデノ、ライノ、インフルエンザなどのウイルス感染症にも抗菌剤は必要ありません。

 ロタウイルスやノロウイルスなど嘔吐(おうと)下痢症の原因ウイルスにも抗菌剤の効果はありません。嘔吐下痢症に抗菌剤を使用するとかえって下痢を長引かせることもあります。

 不必要な抗菌剤療法をできるだけ少なくすることが薬剤による副作用を予防することにつながります。

2007年12月12日掲載

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