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 貧血はよく見られる病気ですが、ゆっくり現れた場合にはなかなか症状が現れません。出血などによって起こった急激な貧血では症状は明らかですが、栄養不足などによって徐々に出現した貧血では、かなりひどくなって初めて症状が明らかになります。貧血の中には重大な原因が隠れている場合もあります。今月は、注意をしていなければ見落とす可能性がある貧血についてお話しします。

 血液の大事な役割のひとつは酸素を全身の組織に供給することです。赤血球の中にある血色素ヘモグロビンが酸素と結合して身体組織に運搬され、そこでガス交換して組織に酸素を供給します。したがって赤血球数やヘモグロビン量が減少すれば、身体各組織への酸素供給量が減少して頭痛、めまい、疲れやすい、息切れ、立ちくらみなどの症状が現れます。酸素不足を補うために心臓は拍動を速くし心拍出量を増加させます。このため動悸や微熱が見られ、ひどい貧血では心不全になります。

 ヘモグロビンは鉄を含む色素ヘムと蛋白グロビンが結合したものです。性別や年齢によって正常基準は異なりますが、乳幼児ではヘモグロビン値が11g/dlを下回れば異常とされます。血液検査で貧血が見つかった場合にはヘモグロビン以外に赤血球数、フェリチン、血清鉄などの検査を行います。白血球や血小板の所見も他の疾患を鑑別するためには大切なものです。

 貧血は原因によって次の4つの場合があります。

1.赤血球を作る骨髄に異常があって赤血球が作られない。
  再生不良性貧血や癌の転移などの場合。

2.赤血球を作る素材の欠乏による栄養性貧血。
  鉄や葉酸、ビタミンB12などの不足が原因。

3.赤血球の寿命が短く壊れやすい。
  溶血性貧血。

4.赤血球の喪失が原因の貧血で、外傷や鼻出血、消化管、尿路など
  体外への失血と腹腔内や頭蓋内など体内への出血に分けられます。

これらの中で子どもに多いのは栄養不足による鉄欠乏性貧血です。とくに成長にともなって鉄の需要量は増加しますから注意が必要です。

2003年11月11日掲載

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