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 出血斑(紫斑)は出血傾向を示す皮膚症状ですが、紫斑を呈す疾患には

1. 血管の異常、
2. 血小板の異常、
3. 凝固・線容系の異常

の3つに大別されます。小児に見られる紫斑の原因としては血管異常による血管性紫斑病が最も多いとされます。しかし紫斑を示す、すべての患者さんが血液検査の必要な紫斑病であるとは限りません。詳しく問診や皮膚を観察することで外傷による紫斑などを簡単に鑑別することができます。

 最も多い紫斑の原因は外傷など機械的な圧迫や血管内圧の亢進で起こる出血です。強い咳や嘔吐の時に目の周りに点状出血が出現することや、激しい運動時に踵の周辺に赤黒い点状出血が見られることがあります。これらの機械的な紫斑については特別な治療なしに1週間程度で消退します。

 血管性紫斑病は小児に好発する全身の血管炎で、皮膚症状、関節症状、消化器症状を主微とする疾患で、血小板や凝固系など血液検査に異常は見られません。腎合併症はよく見られる症状で本症の予後に影響を及ぼします。本症は3~7歳に多く見られ、小児では男児にやや多く発生する傾向があります。

 この疾患は何らかの抗原刺激で形成されたIgAの免疫複合体が皮膚、腸管、腎臓の血管壁に沈着し、その結果、血管炎を起こして発生すると考えられています。本症の発生前には先行感染が約50%あるとされ、中でも多いのは溶連菌感染症であるとされます。その他の感染因子としてマイコプラズマやレジオネラなどの細菌やEB、B型肝炎、水痘、アデノ、サイトメガロなどのウイルスがあげられ、ペニシリンなどの抗生剤、卵や牛乳などの食物、予防接種や昆虫刺傷なども発病の原因になるとされます。

 本症の診断は比較的簡単ですが、紫斑出現前に見られる腹痛は虫垂炎や腸重積など外科的疾患との鑑別が必要です。また本症は比較的予後良好な疾患ですが、合併する腎炎の重症度が紫斑病の予後を決定するとされ、小児にとって血管性紫斑病は重要な疾患です。

2003年4月15日掲載

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