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 子どもは大人に比べてひきつけを起こしやすいとされ、特に高熱にともなう熱性けいれんをよく経験します。子どもが急に意識がなくなってひきつけ始めると、呼吸が止まり、顔色が蒼くなり、口唇がチアノーゼとなり嘔吐を伴うことなどが多く、患者さんが外来で発作を起こした時など、何度見ても自然に止まるのかどうか不安になることがあります。家族にとっても、このまま死んでしまうのではないかと思うことさえあるのではないでしょうか。

 けいれんは神経疾患の代表的な症状の1つですから、けいれんを見た時にはまず神経疾患を考えることになります。しかし熱性けいれんの多くは、神経疾患や発達障害がなく元気な子どもに起こり、ほとんどの子どもでは大きくなると自然に治ってしまいます。今回は子どもに多い熱性けいれんについてお話ししたいと思います。

 日本においては熱性けいれんは小児人口の7~8%に発生するとされていますが、髄膜炎や脳炎など中枢神経感染症によるけいれんは熱性けいれんから除外します。熱性けいれんの初回の発作は生後6カ月から3歳くらいに起こり、ほとんどの人が1~2回の発作だけで自然に治ります。しかし中には発作を繰り返す人があり、発熱の度に発作を起こす人には予防が必要となります。2回目の発作を示す人が約30%、3回以上繰り返す人が約9%あるとされます。熱性けいれんは1歳未満で発生した場合など低年齢であるほど再発しやすいと言われます。また熱性けいれんは遺伝しやすいとされ、父母など一親等内にあれば再発率は50%であるとされます。再発の時期については、6カ月以内に50%、1年以内に75%、2年以内に90%の人が再発するとされます。つまり2年間、熱性けいれんが再発しなければ、90%以上の人は治ったと考えて良いことになります。いたずらに不安がらずに、どのようなタイプの熱性けいれんであるのか、十分に見極めておきたいものです。

2003年2月11日掲載

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